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地方分権の本筋どこへ![]() 地方の苦悩が見える。北海道では、アテネ五輪の女子バレー主将・吉原知子さんらを生んだ名門の道立高が消える。旭川市から車で1時間弱。妹背牛(もせうし)町の妹背牛商高が今春から新入生の募集をやめた。今の2年生が卒業する2009年に閉校になる。 人口減で生徒減が止まらなかった。効率化を目指す道教育委員会の決定だった。存続を願う署名が1か月で道内外から12万人集まり、町は自ら運営することも考えた。だが、年間1億円以上かかる。町に交付される地方交付税が6年で4・5億円も減っていた。「町民の高校」は夢と消えた。 分権改革とは、地方財政を絞り上げることだったのか。たしかに、小泉政権は「地方にできることは地方に」と、4兆円の補助金をやめて3兆円の税源を移した。だが、問題は、財政力の弱い地方に配る交付税も5兆円減らしたことだ。 税源移譲と補助金廃止と交付税改革を同時に行う三位一体改革は、地方には、3兆円の税源移譲と引き換えに補助金と交付税で9兆円を失ったとしかみえていない。過疎地と大都市の税収格差が広がる。多くの自治体は、地域づくりより歳出削減に追われている。 次の分権改革をどう描くか。小泉改革の何を受け継いで、どこを修正するのか。これが本来、参院選で語られるべき課題だろう。 自民党は155本の公約を連ねる。都会の住民が出身地へ住民税の一部を納められる「ふるさと納税構想」や、地域活性化策を考える自治体には交付税を多く配る「頑張る地方応援プログラム」などが山盛りにされた。だが、多くは「改革の部品」(麻生渡・全国知事会長)でしかない。 一方、消費税収の全額を年金に投入するという民主党。消費税の約4割はいま、地方の財源に回っている。地方財政はどうするのか。説明が足りない。 「『美しい国』の目標は間違っていない。聞きたいのはその『政策』だ」 今年1月、首相にこんな手紙を出した徳島県上勝町の笠松和市町長が嘆く。 同町では、190戸の高齢農家が木の葉を都会の料亭で使う料理のつまものとして商品化し、年2・3億円の売り上げを誇る。廃棄物ゼロを目指すまちづくりとあわせ、2000人の町に年4000人の視察者が来る。政府がいう「頑張る自治体」の一つだろう。その町長が「当面の対策でなく、森林をどう守るか、地方のやり方に各省が口を出さない行政をどう実現するか、安定財源をどう配るかの政策が知りたい」と訴える。 子育て、教育、福祉、環境、防災。暮らしを支える公共サービスを、知恵を凝らし、住民参加の自治で作るのが地方の役割に違いない。その自治がどの地域でも開花するような制度をつくるのが政治の責任だ。 もちろん無駄をなくす自治体の努力はいる。だが、それを促すなら、国がすべき本筋は、地域格差の小さな消費課税の比率を高めて弱い地方の税収を増やす税制改革、税源の移譲、安定した交付税の再生にある。 (編集委員 青山彰久)(おわり) (2007年7月27日 読売新聞)
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