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(下)期待先行 民主も正念場

 「安倍さんは『参院は野党と協力して』とか言っているけど、寝ぼけてるんじゃないか。この状況で協力なんてあるわけない」

 民主党の小沢代表は7月31日、連合本部で古賀伸明事務局長らに、与野党逆転を果たした参院選後の胸の内を明かした。

 教訓がある。

 自民党が大敗、参院の過半数を大きく割った1998年参院選後の臨時国会。金融危機への対応が焦点だったが、当時の菅直人民主党代表は「政局にしない」との方針を打ち出し、小渕政権を助けた形となった。

 一方、そのころ自由党を率いていた小沢氏は99年1月、自民党と連立する道を選んだ。しかし、国連平和維持隊(PKF)参加凍結解除などの要求が入れられず、2000年4月、連立を離脱した。

 最近、小沢氏は周辺にこう漏らしている。

 「小渕政権の野中官房長官はおれの言うことを全部聞くと言っていたんだ。もう自民党にだまされない」

 基本戦略は、共産、社民両党などと共闘し、政府提出法案の参院審議を引き延ばすか、否決して政府・与党を揺さぶり、衆院解散・総選挙に追い込むことだ。

 最初のヤマは、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法を延長する改正案だ。政府は秋の臨時国会に提出する方針だが、小沢氏は「反対」を表明した。場合によっては、同法を期限切れにして、海上自衛隊が米軍などを燃料補給で支援するインド洋から撤収する事態も視野に入れている。

 しかし、民主党の前原誠司・前代表は「自衛隊が撤収すると、日米関係は大変」と懸念を示している。自衛隊派遣に国会の事前承認を条件とする修正を認めさせ、賛成すべきだという意見も出ており、党内の意見調整に手間取る可能性もある。

 小沢氏側近も、世論の動向を気にかける。

 「『大勝で民主党は図に乗っている』と思われないこと。その一方、『勝たせたのに何もしないじゃないか』と失望させないことだ」

 そのためには、参院で民主党の政策を明確に示すことが必要だ。参院選の公約を法案にして参院に提出、可決し、衆院に送付する戦術もある。与党が3分の2を占める衆院で「与党が否決すれば、与党との違いをアピールできるし、与党が賛成して成立すれば成果を誇ることができる」(民主党幹部)。天下り根絶法案や年金保険料流用禁止法案、農家への戸別所得補償法案などが考えられている。

 民主党は、旧社会党出身議員から保守系議員まで左右の幅が広い。集団的自衛権の行使を容認するかなど、安全保障をめぐって党内の意見は分かれている。消費税の扱いも同様だ。小沢氏は引き上げ凍結を打ち出したが、厳しい財政事情を踏まえ、「無責任」との声も党内からは漏れる。

 先の通常国会では、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の採決をめぐり、「反対」の党方針に対し、保守系議員による造反もあった。参院選の大勝で勢いをつけた民主党だが、小沢氏の下で一本化されているわけではない。

 「期待」を「信頼」へどう変えていくのか。民主党の正念場はこれからだ。

 (この連載は、政治部・伊藤俊行、河島光平、遠藤弦が担当しました)

2007年8月3日  読売新聞)

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