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    政策点検 安倍内閣

    (2)TPP11 日本が仕切る

    11月大筋合意へ会合重ねる

    • 日豪カナダなど11か国が参加して始まったTPPの首席交渉官会合(8月28日、シドニーで)=一言剛之撮影
      日豪カナダなど11か国が参加して始まったTPPの首席交渉官会合(8月28日、シドニーで)=一言剛之撮影

     安倍内閣は、トランプ米政権の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱表明後も、米国を除く11か国をつなぎとめ、「TPP11」の早期実現にこぎつけようと全力を挙げている。当面の目標と位置づけるのが、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大筋合意だ。

     「大筋合意しか選択肢にない!」

     日本政府の交渉団の一人はそう言うと、やにわに手元の紙を破り捨てた。

     8月29日、オーストラリアのシドニーで、TPP11の首席交渉官会合が行われていた。会合の合間、議長国の豪州が別室で「内々に」と日本側に渡してきた紙には、11月時点での「大筋合意」から「引き続き交渉」まで数段階の想定が記してあった。紙を破ってみせたのは、交渉がはかどらず弱気になった豪州を奮い立たせるパフォーマンスだった。

     最終日の翌30日、豪州は次回会合を9月に日本で開くことを各国に提案した。日本の根回しによるものだった。現地の交渉団から電話で相談された茂木経済再生相が「それで行くしかない」とゴーサインを出した。わずか1か月後に会合を開くのは「新記録」だが、7月に箱根で会合を開いたばかりの日本が再びホスト国を務めるのも極めて異例だ。TPP11は日本が事実上、仕切るとの宣言でもあった。

     世界トップのGDPを誇る米国抜きのTPP11が、日本にもたらす経済効果は限定的だ。それでも、日本政府は「米国のTPP復帰を目指すための舞台装置」(交渉筋)として重視している。

     日本にとって、アジア太平洋地域の経済圏で「米国不在」が続くうちに、中国の存在感が増すことは最悪のシナリオだ。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げてこの地域の成長を取り込むだけでなく、日中韓や東南アジア各国などが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導する。

    「内向き」米と経済対話

     TPP11を進める日本は、通商分野で内向き志向を強める米国とどう向き合うかという難題も突きつけられている。

     政府は8月1日から、米国産などの冷凍牛肉に約14年ぶりとなる緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動し、関税率を38.5%から50%に引き上げた。輸入量急増を受けた自動的な措置だ。日本向け牛肉の主要輸出国である豪州は日本と経済連携協定(EPA)を結び、セーフガードが適用されないため、米国は自国産の牛肉が値上がりすれば不利になる。

     訪米した河野外相は8月17日(日本時間18日)、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表からその点に懸念を示されると、「米国がTPPから脱退しなければよかったんだ」と言い返してみせた。TPPが実現していれば、米国産は発効時に27.5%、16年目以降には9%に下がるはずだった。

     米国の畜産業界には「このままでは日本市場から締め出されるのでは」との焦りが広がっている。

     安倍首相はこれまでトランプ大統領との間で、TPP11の話題を持ち出すことは控えてきた。通商問題でトランプ氏と直接交渉することを避け、実務者同士で冷静に議論すべきだとの判断があるからだ。

     10月には、麻生副総理兼財務相とペンス米副大統領の日米経済対話が控えている。米側が厳しい要求を突きつけてくるおそれもあるが、日本側はTPP復帰こそが米国にとって最善の道であることを訴えるという方針で臨む。

     環太平洋経済連携協定(TPP=Trans‐Pacific Partnership) 知的財産保護や最先端の投資ルールなどを盛り込んだ世界最大の貿易協定。2016年2月に参加12か国(日本、米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ)が署名した。トランプ米大統領が今年1月にTPP離脱の大統領令に署名して発効のメドが立たなくなった。(2017年9月9日の読売新聞朝刊に掲載された記事です)

    2017年09月28日 13時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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    無所属 73 15 73 - - 45
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    欠員3

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