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    政策点検 安倍内閣

    (5)復興「まだら模様」

    財政支援区切り「2020年問題」

     東日本大震災は、11日で発生から6年半を迎えた。安倍首相は先月8日、内閣改造後初の復興推進会議で「閣僚全員が復興相であるとの意識を共有」するよう、強く指示した。しかし、岩手、宮城両県と、東京電力福島第一原発事故に見舞われた福島県の復興には大きな差がついている。復興は「まだら模様」の様相だ。

     政府は、岩手、宮城の復興への財政支援について「復興・創生期間」が終わる2020年度で一区切りとしたい考えだ。復興庁は「初めから支援をあてにすると事業がますます遅れる」(幹部)とする。

     もっとも、被災地にとっての“2020年問題”は目に見える形で影響を及ぼし始めている。市役所が全壊した岩手県陸前高田市は6月議会で、新庁舎建設の条例案を可決した。条例案通り市街地に近い低地に建てるか、市街地から離れた高台に建てるか。賛否は割れ、条例案は3月議会で否決されていた。

     だが、事業費約50億円のうち約21億円を国が支援する措置は20年度に終わる。工期から逆算すると、6月議会を逃せば、国の支援が十分受けられない。戸羽太市長は当初案より地盤をかさ上げするなどの修正案を示し、反対派を説得した。

     拙速な復興を避けたい被災地は21年度以降も、これまで通りの財政支援を求めている。「復興はこれからなのに、国は『出口が見えた』と言う」。プレハブの仮庁舎で執務を続ける戸羽市長は、国との温度差に戸惑いを隠せない。

    福島「攻め」転換まだ遠く

     安倍内閣にとって、被災地の中でも福島県は特別な存在だ。首相の被災地視察は宮城12回、岩手8回に対し、福島は16回でトップに立つ。内閣改造で留任した福島出身の吉野復興相はもちろん、野田総務相や林文部科学相らも続々と現地入りした。14日には、加藤厚生労働相がいわき市を視察し、記者団に「(自らも)復興相という思いと、厚労相という役職の中で、地元と手を取り合って対応していきたい」と語った。

     だが、復興の取り組みへの地元の不満は爆発寸前だ。

     「復興しよう、住民を戻そうという時に安心を奪っているとしか思えない」。先月17日、福島県南相馬市小高区の住民説明会で出席者が怒りをぶちまけた。

     怒りの矛先は、市立小高病院の入院ベッド99床をなくし、車で約20分の総合病院に移す市の計画だ。市にも言い分はある。小高区の大部分は昨年7月、避難指示が解除されたが、今年8月末の居住者数は2156人と震災前の2割未満。小高病院の入院診療には年数億円の赤字が見込まれる。

     小高病院は5月、通信端末で病院と患者宅を結ぶ「遠隔診療」を導入した。在宅診療が受けられ、高齢者にも好評だ。国は県を通じて財政支援する。桜井勝延市長は「帰還住民のため、今ある状況の中で少しでも不安を払拭ふっしょくすることが重要だ」と語る。

     ただ、県内にはなお、帰還困難区域が残り、福島県を中心に約8万7000人が避難生活を送る。復興庁幹部は「安倍政権のうちは『福島の体制をたたみます』とは言えない」と語る。

     首相が「福島復興の切り札」と位置づける「福島イノベーション・コースト構想」に関する閣僚会議が初めて開かれたのは、7月末のことだ。1次産業の風評被害対策という守りだけでなく、原発事故を逆手に取った廃炉研究やロボット研究の拠点整備で攻めに転じる狙いだ。福島に人と産業を呼び込む糸口を見つけようと、懸命の手探りが続く。

    復興・創生期間

     国は2016~20年度の5年間を東日本大震災の被災地復興の「総仕上げ」と位置づけている。期間中の復興事業費約6・5兆円のうち、岩手、宮城、福島の被災3県の地元負担は約220億円で済む。一方、国は被災直後の11~15年度を「集中復興期間」として、住宅再建やまちづくりなどの事業費約27・6兆円を全額負担した。(2017年9月17日の読売新聞朝刊に掲載された記事です)

    2017年09月28日 13時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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    社民 21 4 19 21 19 2
    こころ 2 1 0 2 0 0
    諸派 91 31 44 47 0 0
    無所属 73 15 73 - - 45
    合計 1180 209 936 855 611 472

    欠員3

    希望=希望の党、立憲民=立憲民主党、維新=日本維新の会、こころ=日本のこころ