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    選挙の争点や各党の動きをお伝えします。
    検証 アベノミクス

    (1・前編)将来不安 節約志向変わらず

     衆院選では経済政策のあり方が問われる。アベノミクスの効果を検証する。

    • 東京都中野区に住む主婦は家計簿をつけ、節約に努めてきた=岩佐譲撮影
      東京都中野区に住む主婦は家計簿をつけ、節約に努めてきた=岩佐譲撮影

     「アベノミクス改革の矢を放ち続け、ようやくここまで来ることができた。これからも本当に成長していけるのか。漠然とした不安に答えを出す」

     安倍首相は25日の衆院解散表明の記者会見で、こう強調してみせた。

     すでに「不安」が若者らの意識を変えつつある。

     東京証券取引所が主催する投資セミナー。今年度の出席者に占める10~30歳代の割合は、2016年度からほぼ倍増した。その一人、都内のIT企業で働く五嶋麻里奈さん(26)は「年金など将来不安は大きい」との理由で生活費を削り、月3万~5万円は貯金する。それでも、「貯蓄だけではお金は増えないから」と参加した。

     手取り収入から消費に回したお金の割合を示す「消費性向」。「29歳以下」では、2001年の75.9%から2016年は64.6%まで低下した(総務省の家計調査)。それだけ貯蓄を増やしているわけだ。貯蓄に回す割合は「30~39歳」「40~49歳」でも高まっている。

     消費者は価格にも敏感だ。

     イオン傘下のダイエーは、今月13日から、期間限定で10~20%値下げする食品や日用品の数を約600追加し、約1300品目にした。効果は劇的だった。販売数量は前年より約3割伸びた。近沢靖英社長は「消費者にとって必要な物を安く買って節約することは普通だ」と話す。セブン―イレブンも今年4月、洗剤や歯ブラシなど61品目を平均5%値下げし、販売量は36.9%増えた。

     金融緩和や財政出動などで景気拡大期は戦後2番目の長さになった可能性が高い。しかし、消費者の不安や節約志向は変わらない。

    伸び悩む可処分所得

     安倍内閣は、政府自ら賃上げの旗を振り、毎年、平均2%前後の賃上げ率を実現させてきた。経済対策は4回打ち出し、低所得者への臨時給付金など消費喚起策を講じた。それにもかかわらず、国内の消費支出はふるわない。

     なぜか。第一の理由が、手取りである「可処分所得」の伸び悩みにある。

     ある子育て世帯の例をみてみたい。

     東京都中野区に住む46歳の主婦。夫は飲食業を営み、自身はパートに出ている。中学3年生と1年生、小学5年生の子どもがいる5人暮らしだ。

     毎月の世帯収入は、2011年の40万8400円から、47万2820円に6万円以上増えた。しかし、社会保険料の引き上げなどで、可処分所得は39万8820円と約3万6000円増えたに過ぎない。

     支出は子どもの成長に連れて大きくなる。教育費は約1万6000円多い7万9000円に、食費も約2万1000円多い9万1000円になった。この二つで可処分所得の伸びをほぼ相殺する。教育費や、親の介護が必要になった時にかかる費用を考えると、「切り詰められるものは切り詰めたい」。今夏の家族旅行は見送った。

    「消費者が離れてしまう」

     可処分所得が増えなければ、消費は増えるどころか減ってしまう。企業も危機感を強めている。

     20年には全世帯(2人以上)の6割弱が年収400万円未満になる――。食品卸最大手の三菱食品は、こんな独自の試算をまとめた。15年度の47%(厚生労働省の統計)から約10ポイント増える計算だ。

     安くておいしくて栄養のあるレシピをスーパーやコンビニエンスストアに提案しようと本格的な検討に乗り出した。一例が「なんちゃって厚切りステーキ」。木綿豆腐を薄切り肉で挟んで焼いた。野菜ジュースを染みこませた高野豆腐を焼き、食パンで挟む「なんちゃってカツサンド」も評判を呼んだ。

     原正浩マーケティング本部長は「今のままでは(購買力の点で)消費者がついてこられずに消費者が離れてしまう」と話す。

    中古でも満足

     スマートフォンなどを通じて中古品を売買する「リサイクル消費」の広がりも、統計上の消費支出を抑える理由の一つとみられる。

     スマホにダウンロードして、個人同士で中古品の売り買いができる「フリマアプリ」。代表格の「メルカリ」は月間の取引額が100億円を超える。

     衣類や電化製品、日用品など、あらゆる品が売りに出され、「この1年、店で新品の服を買ったことはない」(24歳・男性アルバイト)という利用者も多い。

     リユース市場は1兆6000億円規模とされ、6年連続で5%前後の成長を遂げる。新品より中古品の方が通常は安い分、消費支出は少なくなる。

     高級ブランドのリユース店「コメ兵」。店内には、エルメスのバッグや、グッチの靴、高級時計・宝石などの中古品が並ぶ。価格は新品の2~7割程度。顧客の中心は30~40歳代で、全体の6割以上を占める。担当者は「ブランド志向が強いバブル世代の人でさえも、状態が良ければ、中古で満足する人が増えている」と明かす。(2017年9月27日の読売新聞朝刊の記事です)

     後編はコチラ

    2017年10月03日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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    公明 53 5 9 44 0 34
    共産 243 58 206 65 28 21
    立憲民 78 19 63 77 62 15
    維新 52 4 47 52 47 14
    社民 21 4 19 21 19 2
    こころ 2 1 0 2 0 0
    諸派 91 31 44 47 0 0
    無所属 73 15 73 - - 45
    合計 1180 209 936 855 611 472

    欠員3

    希望=希望の党、立憲民=立憲民主党、維新=日本維新の会、こころ=日本のこころ