文字サイズ
    選挙の争点や各党の動きをお伝えします。
    検証 アベノミクス

    (2)人手不足でも給与増えず

    麻生氏「内部留保は大量」

    • 求人情報検索コーナーを訪れる人は少ない(9月20日。東京都港区のハローワーク品川で)=米田育広撮影
      求人情報検索コーナーを訪れる人は少ない(9月20日。東京都港区のハローワーク品川で)=米田育広撮影

     求人数が全国最多のハローワーク品川(東京都港区)。毎月1万件以上の求人が集まるのに対し、仕事を求めて訪れる人の数は、1日あたり200人程度。5年前からほぼ半減した。

     水野治・雇用開発部長は「企業の採用活動が、目に見えて難しくなっている」と語る。求人票を出しにきた中堅運送会社の人事担当者(28)は「インターネットでモノを買う人が増えて仕事量が増えているのに、人手の確保が追いついていない」とため息をつく。

     1人の求職者に何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」は7月に1.52倍と、約43年ぶりの高水準を記録。安倍首相は25日の記者会見で、「力強い経済成長が実現している。正社員の有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えた」とアピールした。

     だが、良いことばかりではない。それどころか、企業の生産活動に深刻な影響を及ぼし始めている。

     栃木県の部品メーカーの関係者が打ち明けた。

     「自動車メーカーの注文をさばき切れず、納品を後ろにずらしてもらっている」

     しかも、他に求人が多いため、大変だと感じたらすぐ辞めてしまうという。

    労働分配率は低下傾向

     人手不足なのに労働者の収入もなかなか増えない。

     厚生労働省の調査によると、残業手当などを除いた「所定内給与」(月額)は、正規雇用が2016年で平均32万1700円。第2次安倍内閣が発足した2012年(31万7000円)より増えたとはいえ、上昇率は4年間で1.5%。非正規雇用の給与は7.8%伸びたが、それでも21万1800円と、正規より11万円低い。

     今年7月、長野県軽井沢町で開かれた経団連の夏季フォーラム。ゲストとして呼ばれた麻生財務相の発言が財界で波紋を呼んだ。

     「所得が上がらないから景気が良くならない。これは事実だ。企業は大量の内部留保をため込んでいる。住宅手当に回してはどうか」

     財務省の統計によれば、企業が生み出した付加価値(利益など)のうち、人件費に回した割合を示す「労働分配率」は低下傾向が続く。麻生氏がいら立つ理由はここにある。

    社会保険料は増大

     安倍内閣は、政府主導で企業に賃上げを働きかける「官製春闘」を定着させた。最低賃金(時給)も全国平均で1000円に引き上げる方針を掲げ、2012年度の749円は今年度には848円になる見通しだ。

     では、平均賃金が上がらないのはなぜか。

     一つは、終身雇用、新卒一括採用といった日本特有の雇用慣行が影響しているとみられる。自動車メーカー幹部は「いったん上げた基本給を下げるのは日本では難しい」と話す。長期的なコスト増に直結するからだ。

     二つ目は社会保険料の増大にある。企業は健康保険料や厚生年金保険料を労使で折半する。ニッセイ基礎研究所によると、企業の社会保障負担は、2000年度の19.1兆円から2015年度には25.7兆円に膨らんだ。

     それが、賃金が低い非正規雇用を企業が増やしてきた動機の一つでもある。

     実際、労働者に占める非正規雇用の割合は37.5%(2016年)と、10年前の33.0%から上昇し、人数は345万人増えた。非正規雇用の平均賃金は正規の約6割の水準。非正規の割合が高まれば、統計上の平均賃金は上がりにくくなる。

     高齢化で求人が多い福祉分野は介護保険制度で報酬が決められるため、賃金の上昇が鈍いという特殊事情もある。「社会福祉・介護」の所定内給与の伸び率は2012~2016年で1%と、全産業の半分程度にとどまる。

     雇用問題に詳しい玄田有史げんだゆうじ東大教授は「非正規雇用の拡大には限界があり、今後、賃金上昇が広がる可能性はある」と指摘する一方、「企業はボーナスを非正規雇用に支給するなど、将来不安を打破する工夫が必要だ」と話す。(2017年9月28日の読売新聞朝刊の記事です)

     「検証 アベノミクス」3はコチラ

    2017年10月03日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR情報

    候補者(50音順)

    党派別立候補者数

        小選
    挙区
    比例 重複 公示前
    勢力
    うち
    女性
    自民 332 25 277 313 258 284
    希望 235 47 198 234 197 57
    公明 53 5 9 44 0 34
    共産 243 58 206 65 28 21
    立憲民 78 19 63 77 62 15
    維新 52 4 47 52 47 14
    社民 21 4 19 21 19 2
    こころ 2 1 0 2 0 0
    諸派 91 31 44 47 0 0
    無所属 73 15 73 - - 45
    合計 1180 209 936 855 611 472

    欠員3

    希望=希望の党、立憲民=立憲民主党、維新=日本維新の会、こころ=日本のこころ