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    検証 アベノミクス

    (3)金融緩和で設備投資改善

    物価は停滞 日銀思惑外れ

    • 建設中の新工場で、横浜銀行の担当者と話す水木太一社長(左)(25日、神奈川県綾瀬市で)
      建設中の新工場で、横浜銀行の担当者と話す水木太一社長(左)(25日、神奈川県綾瀬市で)

     「10年後、20年後に向けて、生き残るための投資に踏み切った」

     神奈川県綾瀬市の部品メーカー「ミズキ」は約55年ぶりの大型投資を決断し、新工場を建設中だ。水木太一社長は「2008年のリーマン・ショック後、規模縮小を考えたが、(アベノミクスで)円高が是正され、業績が改善した。医療機器やロボットなどにも使えるような精緻な金属部品の製造を増やす」と意気込む。

     総工費は約11億円。このうち約7億5000万円を横浜銀行などから借りた。日本銀行の金融緩和で金利は低い。神奈川県の補助制度も使い、「実質ゼロ金利」で借りられたという。

     日銀の黒田東彦はるひこ総裁は就任直後の2013年春、デフレ脱却を目指し、「2年程度で物価上昇率を2%に引き上げる」と宣言した。アベノミクスを支える「量的・質的金融緩和」が始まった。

     日銀は国債などを金融機関から大量に買い取る。金融機関はその分、手持ちの資金が増える。それで融資を促し、企業の設備投資につなげる狙いがある。

     世の中に出回るお金が増えれば、その国の通貨は安くなりやすい。モノが増えれば、価格が下がるのと同じような理屈だ。第2次安倍内閣が発足した2012年12月に1ドル=85円台だった円相場は急速に円安に傾く。

     円高に苦しんでいた経済は息を吹き返した。

    銀行の融資残高477兆円

     日銀はその後も金融緩和を強化していく。

     内閣府の統計によると、2012年10~12月期に約72兆円(名目ベース、年換算)だった企業の設備投資は、2017年4~6月期には約85兆円まで回復した。全国銀行協会のまとめでは、銀行の融資残高は8月末で477兆円。6年間にわたって前年同月を上回った。

     横浜市でマンションの大規模修繕などを行う「大和」の佐藤正道社長は「今は設備投資のチャンス。新たに土地を購入し、新社屋を建てる」と言う。金融緩和の効果は出始めている。

     だが、肝心の物価が上がらない。

     今年7月の消費者物価の上昇率(生鮮食品を除く)は、前年同月比0.5%にとどまる。エネルギー価格の影響を除けば、伸びはほぼゼロである。

     首都圏のバイク販売店の店長は「1万円値上げすれば、全く別のバイクではないか、というくらい売れ行きが落ちる」と話す。消費者は価格に敏感だ。企業は値上げをためらう。こうした構図も物価を上がりにくくしている。

    国の借金 1000兆円超え

     景気が良くなれば、人々の給与が上がり、消費が増え、物価も徐々に上がっていく――。そんな日銀の思惑ははずれた。

     黒田総裁は6月、英国での講演で、「(物価は上がらないと考える)人々の認識を変えるのは容易ではない」と述べた。そして半ばさじを投げるように語った。「問題は心理的なものだ」

     物価の伸び悩みは先進国共通の問題でもある。米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)。イエレン議長は、米景気が良いのに、物価上昇率が2%を下回る現状について、「ミステリーだ」と表現した。

     一方、金融緩和の弊害を指摘する声も出てきている。

     日銀の国債保有額はこの4年半で3倍以上の430兆円超に増え、全体の4割に達した。

     「金利が低くなりすぎることで金融機関の収益が悪化するなど副作用が大きくなっている。日銀が国債をこれ以上買い集めると、流通量が減り、価格の変動が大きくなる可能性が高い」

     7月まで日銀の審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英たかひで氏は警鐘を鳴らす。(2017年9月29日の読売新聞朝刊の記事です)

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    2017年10月03日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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