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自民・民主に厳しい注文…政権公約検証大会

 「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)が9日開いた、今回の衆院選での自民、民主両党の政権公約(マニフェスト)を検証する大会では、国の根幹にかかわる経済・財政、外交・安全保障に関する政策の妥当性や、「政と官」のあり方などが評価のポイントとなった。

 参加9団体からは、政権を争う自民、民主の2大政党に対し、厳しい注文が相次いだ。

 ◆経済・財政◆

 「マクロ経済のシナリオや成長戦略が全くない、という点で、民主党の政権公約は致命的だ」

 チーム・ポリシーウォッチの岸博幸慶応大教授は、強く疑問を呈した。

 今回の衆院選は、日本経済が世界的な不況に直面した中で行われるため、経済・財政政策のかじ取りが重要な論点となった。

 <景気回復にどのように道筋を付け、経済を安定成長の軌道に乗せるのか。社会保障費の増大と、景気対策での財政出動で急速に悪化する財政を、破綻(はたん)の危機からどう救うか>

 こうした観点から他の団体も民主党に対し、「消費税増税を含む税制改革を先送りし、財政面が不安」(日本総合研究所)「自民党以上にばらまき政策の羅列で、ツケは国民負担と経済成長の低迷という形で跳ね返るのでは」(言論NPO)と厳しい見方を示した。

 民主党は「子ども手当」支給など国民の可処分所得を増やす政策で内需を拡大させ、景気回復を図る考えだ。財政再建は景気回復後の課題とし、工程表で示した財源確保策はあくまで重点政策の実施が目的だ。これを高く評価したのは、民主党支持の連合のほか、中小企業支援策に期待感を示す日本青年会議所など少数だった。

 自民党は「世界トップクラスの国民所得」などを目標にした成長戦略を掲げ、経済好転後の消費税率引き上げも明示、中長期的に財政再建を図る方針を打ち出す。成長の果実を期待する経済界は「現実的で責任ある政策」(経済同友会)と高い評価を与えた。

 ただ、民営化や規制改革などで経済成長を目指した小泉構造改革路線に代わる経済・財政政策の新路線の軸が見えない、との指摘は多い。小泉政権の経済・財政政策に影響力を持った竹中平蔵・元総務相が代表を務めるチーム・ポリシーウォッチは「政府支出を拡大したままで増税を目指し、マクロ経済運営の方向性が間違っている」と批判した。

 また、首相の度重なる交代や、説明が不十分なままの政策転換などで、自民党政権への不信感を募らせ、「実行への信頼性は低い」(PHP総合研究所)と、目標達成に懐疑の目を向ける団体も少なくなかった。

 一方、外交・安全保障政策の検証も重要な柱となったが、多くの団体は民主党に対し、「外交・安全保障分野の政策項目が少なく、内容が薄い」(構想日本)などと厳しい見方を示し、自民党に対する評価の方が総じて高かった。もっとも、自民党は前回衆院選で掲げた自衛隊の海外派遣に関する一般法制定を進められず、ここでも「実行力」への疑問符がつけられた。

 全体的に自民、民主両党とも問題点が多いとして、PHP総研の永久寿夫常務は「自民党には『不満』、民主党には『不安』。有権者に苦渋の選択を迫るマニフェストだ」と評した。

 ◆連立共通公約◆

 検証大会では、連立政権の公約の位置付けや数値化が難しい国家像への評価などを巡り意見が相次いだ。

 「しょうゆとプリンを混ぜるとウニの味がすると言われる。連立政権のマニフェストは、民主、社民、国民新党で違うかもしれない」

 全国知事会の古川康・佐賀県知事は民主党が衆院選後に連立を組むとしている社民党、国民新党の政策面の違いをこう例え、共通政策がまだ発表されていないことへの懸念を表明した。民主、社民両党間では外交・安保政策の調整が課題だ。各党が個別に政権公約を出している現状は、政策の実現可能性を考える上で、困難が出てくるというわけだ。

 一方、チーム・ポリシーウォッチの岸教授は、政権公約の基本的な構成要素とされる「財源」「実現時期」「実現手段」に関し、「国家観は数値で言えず、希薄になっている」と指摘。「日本型マニフェストを考えた方がいい」と提言した。

 ◆首相主導体制◆

 政権公約とは別枠で評価された政権運営構想では、「政と官」のあり方、とりわけ「首相主導」の体制をどうするかが問われた。

 自民党は首相を補佐する国家戦略スタッフを設けることなどを掲げるが、「現状の延長線上」(日本総研)と受け止められ、評価は総じて低かった。首相に対し、「指導力が全く感じられない」(言論NPO)という酷評もあった。

 これに対し、民主党が首相直属の「国家戦略局」創設、事務次官会議の廃止など、与党・官僚主導からの脱却を目指す方策を示したことには、「メッセージが強く打ち出されている」(構想日本)などと、評価する団体がほとんどだった。ただ、工程表が示されていないことには「実現可能性に確信が持てない」(経済同友会)と留保がついた。(政治部 鈴木雄一、古川肇)

          ◇

 「構想日本」は1997年4月に発足した独立・非営利の政策調査研究機関。加藤秀樹・慶大教授が代表で、会員約600人。「言論NPO」は2001年11月に発足した政策評価などを行う非営利組織。工藤泰志・元「論争東洋経済」編集長が代表で、会員約500人。「チーム・ポリシーウォッチ」は経済政策の専門家らで07年1月に発足。代表は竹中平蔵・元総務相。

2009年8月10日03時37分  読売新聞)
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