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マニフェスト点検「高速道」…通行料軽減の功罪

 民主党は政権公約(マニフェスト)で段階的な高速道路の「無料化」を訴え、土日・祝日に普通車料金を「上限1000円」とした政府・与党の施策に対抗する。値下げや無料化で高速道路や観光地はにぎわいをみせる一方で、渋滞増加による“低速道路”化や、30兆円を超える高速道路建設債務の返済問題など、懸念や課題も抱えている。

 普通車高速料金の上限を1000円とする制度は、お盆の期間中、特例として平日の一部にも適用されている。特例初日の6日は木曜日。香川・金刀比羅宮を訪れた川崎市の会社員長谷川清さん(45)は「平日も値下げと聞いて足を延ばしました。無料になればもっと気軽に旅をしたい」と、うれしそう。この日の観光客は1万人で、ふだんの平日より1〜2割多かったという。

 全国の高速道路料金の値下げ分は、家計や企業の懐に残る計算だ。第一生命経済研究所は「上限1000円」の経済波及効果を年7900億円とはじく。さらに、無料化の経済効果は年2兆円になるという。

 心配なのは交通量が増えて渋滞や事故が増えることだ。神奈川県と千葉県を結ぶ東京湾アクアラインでは、「上限1000円」が始まった3月以降、週末の交通量が前年比で4割以上増え、南房総の水族館「鴨川シーワールド」の入場者も15%増えた。しかし、同水族館の荒木田康・営業推進支配人(45)は「渋滞などで“高速”でなくなれば、かえって観光客に敬遠されかねない」と複雑な表情だ。

 トラック輸送などの物流業界では「全部無料ならグループ全体で数十億円規模のメリットがある」(ヤマトホールディングス)という声がある一方で、「上限1000円でも渋滞による到着遅れが出る。無料なら悪影響はもっと大きくなる」と危ぶむ関係者もいる。

 高速道路と競合するJRは無料化や値下げに反対だ。JR東海が7月末に発表したお盆期間中の新幹線予約状況は前年同期比85%に沈み、高速道路料金の値下げがすでに経営を直撃している。

 NPO「環境自治体会議環境政策研究所」は、高速道路無料化とガソリンの暫定税率廃止が実施された場合、二酸化炭素(CO2)の排出量が最低でも年980万トン増加すると試算した。「上限1000円」での増加量の4倍になるという。「気候ネットワーク」など民間活動団体(NGO)は「自動車利用を加速させ、鉄道・バス・フェリーなどの衰退を招く。温暖化防止型の社会インフラが崩れる」と、高速料金の無料化や値下げを批判している。(経済部 滝沢康弘、千葉支局 福井浩介、高松総局 新居重人)

2009年8月14日01時49分  読売新聞)
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