「官」の政治主導移行、大きな可能性
今回の衆院選は、自民党、民主党のどちらが中心の政権となるかによって、政策決定の仕組みが大幅に変わる可能性がある。
その意味で、「政権選択」の内実は個別政策の選好にとどまらず、国の統治機構のあり方を選択するという側面も持っている。
民主党は従来の自民党中心の政権を「官僚主導」と批判し、これを「政治主導」に変えると主張している。現状の政策決定、政権運営を大幅に見直す方針だ。
民主党が政権を獲得した場合、「政治主導」の司令塔の役割を担う首相直属の「国家戦略局」を設け、予算編成や国家構想づくりを行う構えだ。また、党政調会長に重要閣僚を兼務させるとともに、各省庁に100人以上の国会議員を送り込み、政府・与党の一体化を強める中で、政治主導の政策立案・決定の仕組みを確立する考えだ。
こうした民主党の統治機構見直し方針の背景には、政策の多くを官僚が法案化し、自民党の政調・総務会で了承した後、閣議決定するという現行の「二元的政策決定」が、官僚依存体質を定着させてきたとする見方がある。
ただ、単なる「官僚たたき」となって、専門知識を持つ官僚を使いこなすことができなくなるようだと、行政が機能不全に陥ると不安視する声もある。また、民主党が政権公約(マニフェスト)に掲げた諸政策の財源の多くを予算の組み替えで行うとしていることから、形式上は政治家主導を標榜しながら、実質的には財務省への依存度が高まるのではないかとの見方も出ている。
一方、自民党も「官邸機能の強化」「首相を補佐する国家戦略スタッフ等の発足」で政治主導を進めるとしている。
政権公約には、政府と地方自治体のあり方を見直して道州制基本法を早期に制定し、その6〜8年後をメドに「道州制」を導入する方針も明記した。ただ、いくつの道州ブロックに都道府県を再編するのか、移譲する国の権限内容は何かなど詳細は明確でない。「実績」と「責任」を強調する立場から、抜本的な統治機構の改革は“自己否定”になりかねないという難しさもはらんでいる。
(2009年8月18日11時03分 読売新聞)