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マニフェスト点検「温暖化」…数値目標、比較は困難温暖化防止のため、京都議定書に続く2013年以降の国際的枠組み作りの交渉期限を12月に控える中、民主党の政権公約(マニフェスト)は、全体的に自民党よりも厳しい内容となり、経済界が反対する仕組みも盛りこまれた。 ただ、自民と民主の数値目標は単純比較が困難で、温暖化に関する論戦が盛り上がらない一因となっている。 ◆異常気象◆ 「四季がはっきりしなくなってきた。夏がないようだ」。宮城県で40年以上、米作りを続ける佐々木勝雄さん(71)がつぶやいた。日照不足のせいか、例年より遅い出穂。7月下旬以降、集中豪雨や台風が西日本に被害をもたらしたが、東北でも天気がはっきりしない日が続き、梅雨明けの発表は見送られた。 気象庁によると、過去100年で日本の平均気温は1・11度上昇。異常気象と海水温の上昇との関連も指摘され、木本昌秀・東大教授(気象学)は「温暖化が進めば、今年のような長雨や豪雨の頻度は増えるだろう」と予測する。 温暖化防止には、新たな国際的枠組みが必要だが、交渉期限が迫る中で先進国と途上国が対立し、合意に向けた展望は見えない。 ◆中期目標◆ 自民、民主とも、日本が省エネ先進国として率先してガス削減に取り組み、枠組み作りも主導する、との姿勢は同じだが、2020年までにどれだけ削減するかの中期目標は異なる。自民は、麻生首相が6月に「欧米を上回る目標」として発表した「05年比15%減」を踏襲。これは1990年比なら8%減に相当する。 民主は、90年比25%減を掲げる。その根拠は、科学者でつくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が温暖化被害を防止するシナリオの一つとして示した「20年までに先進国全体でガスを(90年比)25〜40%削減」という数値だ。 自民8%、民主25%と一見、大きな差があるが、自民の目標が「真水」と呼ばれる国内削減分だけなのに対し、民主は、国内の森林によるガス吸収分と海外での削減に協力して購入した排出枠なども加えた数値。その中の「真水」分がどれだけかは示されていない。 単純比較できないものの、「民主の方が厳しい数値目標なのは明らか」(環境省幹部)。一方、今後の国際交渉は「排出量の多い米国と中国がどのように歩み寄るかがカギ」(21世紀政策研究所の沢昭裕研究主幹)とされるが、その中国は先進国全体で最低40%減を主張。日本は目標引き上げを迫られる可能性もある。 ◆国内調整◆ 削減には、省エネ機器や太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に伴う企業や家計の金銭的負担が伴う。6月に中期目標を発表した記者会見で麻生首相は「これ以上削減目標を大きくすると、国民の負担があまりに重たい」と述べた。 一方、民主の岡田幹事長は「温暖化は重大な脅威。できることをやればいいというのでなく、絶対やらなければならない」と強調。大企業に削減義務を課す排出量取引制度の導入やCO2排出量に応じた化石燃料への課税などを含め、あらゆる手段を講じる構えをみせている。ただ、これらの措置には、産業界だけでなく、民主党支持の産業別労働組合にも慎重な対応を求める意見が強く、国内調整が難航する可能性もある。 ◆争点化は◆ 米国がオバマ政権の誕生で積極姿勢に転じ、豪州は労働党政権への移行を機に京都議定書を批准した。しかし、政権選択が争点の今回の選挙戦で、党首が温暖化対策に言及する場面は目立たない。政権与党の公明党が、民主党と同じ90年比25%削減の中期目標を掲げるなど、対立の構図が分かりにくい面もある。政党の温暖化政策の分析や候補者へのアンケート結果をホームページで公開する環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子さんは「環境は票にならないと言われて久しい。今回もマニフェストへの記載は後ろの方。本気で争点化する気構えが感じられない」と話している。(社会部 小坂剛、木田滋夫、経済部 二階堂祥生) (2009年8月23日06時06分 読売新聞)
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