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(下)本当の力 それとも選挙向け?憶測呼ぶ「踊り場脱却」宣言時期尚早?「現時点の指標などから総合的に、踊り場的状況を脱却していると判断しています」 9日夕、竹中経済財政相は月例経済報告後の記者会見で、景気が昨年11月からの「踊り場」を脱し、緩やかな上昇基調に戻ったと宣言した。 しかし、「脱却宣言は時期尚早」(第一生命経済研究所の飯塚尚己・主席エコノミスト)と、首をかしげる民間エコノミストは少なくない。デジタル家電向けの部品など、IT(情報技術)関連の在庫調整がまだ終わっていないとの見方が根強いためだ。 政府内には「確実に踊り場を抜け出した段階になってから宣言してもよいのでは」(内閣府幹部)との慎重論もあったが、解散風が強まるのと歩調を合わせたかのように、脱却宣言への流れが固まったという。 駆け込みあるエコノミストは「どうしても8月に脱却宣言をする必要があった」と推測する。 経済産業省の製造工業生産予測調査は、9月の月例経済報告に反映される7月の生産が落ち込むと予想している。輸出の伸び悩みを予想する見方も多く「8月の月例経済報告を逃せば、総選挙までに踊り場の脱却宣言は難しかったのだろう」と分析する。 竹中氏は「政治的判断は一切入っていない」と説明したが、かねてから「年央には踊り場を脱する」と強調してきた。この公約実現と、小泉首相の「改革なくして成長なし」をアピールする“だめ押し”の意味も込め、多少の無理は承知で宣言に踏み切ったとする見方もくすぶる。 衆院選で自民党と激突する民主党も「アメリカや中国の経済の先行きのリスクが高まる中での踊り場脱却宣言は唐突だ」(大塚耕平参院議員)と批判している。 通信簿政権にとって、景気指標は、経済政策の「通信簿」にあたる。小泉政権が発足した2001年4月と現在の経済情勢を比較すると、実質国内総生産(GDP)の成長率や完全失業率などのマクロ経済指標は改善している。 株価は、改革期待を背景に就任直前に急騰した影響もあって「下げ」だが、全体的に見れば合格点の範囲だろう。 政府が7月に発表した経済財政白書も、日本経済の足かせとなってきた企業の「雇用・設備・債務」の三つの過剰問題がほぼ解消されたと指摘し、日本経済は「バブル後と呼ばれた時期を確実に抜け出した」と宣言した。 争点足元の景気がまずまずの状況は、「小泉改革がどこまで景気回復に貢献したかは別として、衆院選で小泉自民党に追い風となる」(BNPパリバ証券の丸山義正エコノミスト)と見る向きが多い。 ただ、9月11日の衆院選投票日までに、4〜6月期GDP速報(8月12日)をはじめ、7月の失業率(30日)、7月の鉱工業生産指数(31日)など重要な経済指標が相次いで発表される。 史上最高値の水準にある原油価格や、アメリカと中国をはじめとした海外経済の動向も気がかりだ。 踊り場脱却宣言は日本経済の実力なのか、それとも選挙向けに出した強気のリップサービスにすぎないのか。衆院選の行方を占う意味でも、当面の経済指標から目が離せない。(山崎貴史) (2005年8月11日 読売新聞)
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