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(下)政界流動化の序章か

 小泉首相は首相官邸で開かれた11日の閣議の前、満面に笑みを浮かべ、小池環境相に声を掛けた。

 「小池さんは時の人だな」

 村上行革相が続いた。

 「自民党の上戸彩だ。映画の『あずみ』みたいだ」

 人気アイドルの上戸さんが演じたのは女刺客役。郵政民営化関連法案に反対票を投じた前衆院議員に対抗馬を立てる、小泉首相の「刺客」作戦に反対派は動揺し、民主党の存在感は薄れがちだ。首相らの歓談ぶりからも、「してやったり」との思いがうかがえる。

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 だが、自民党内には首相の強引な手法を危ぶむ声も少なくない。ある若手はこんな見方をしている。

 「かつて新進党で小沢(一郎・現民主党副代表)さんが批判分子を次々と切って捨て純化路線に走った。行き着いた先は、新進党の分裂、解党だった。小泉さんがやっていることも、純一郎への『純化』路線だ。やりすぎると、自民党も政権を失い、壊れてしまいかねない」

 反対派37人をそぎ落とす結果、自公両党の解散時勢力の合計は衆院の過半数をわずか5議席上回っているに過ぎない。

 選挙結果によっては、自公連立と民主党のどちらも過半数を獲得できず、少数党・勢力が政権の枠組みを左右する、という事態も十分に想定される。

 11日、都内の綿貫民輔・元衆院議長の事務所で、反対派の綿貫氏、亀井静香・元政調会長、平沼赳夫・前経済産業相らが今後の対応を協議した。会談後、平沼氏は「新党もシミュレーションしていく」と語った。

 反対派がなお新党を模索しているのは、自らの当選と共に、選挙後の政局をにらんでいるためだ。

 自民党の幹部の中には、「公明党が民主党と組むこともありうる」との声さえある。

 民主党はどうか。岡田代表は「政権を取れなければ代表にとどまるつもりはない」と言明し、背水の陣を敷いた。

 自民分裂という好機を生かせないようでは、党の求心力が一気に低下し、「寄せ集め」のもろさが噴き出しかねないからだ。

 だが、民主党が単独過半数を獲得するには、解散時勢力に66議席という大幅な上積みを果たさなければならない。仮に単独で政権を樹立できたとしても、現状では参院で自公両党が過半数を占めており、自公対民主の構図が崩れない限り、法案は通らない。

 自民党の中川秀直国会対策委員長は9日のテレビ番組で、こう予言した。

 「自公で過半数を取れなければ、下野せざるを得ない。一方、民主が第1党になっても、思い切った政治はできない。その場合は、政界再編の動きが出てくる」

 今の与野党にはそれぞれ政策面のねじれが多い。「政界再編が政策中心の安定した政権づくりの一歩になれば」との前向きな指摘もある。小泉首相が断行した今回の「『壊党』解散」は、政権をめぐる各党・勢力の新たな合従連衡など、政界流動化の幕を開ける可能性を秘めている。(おわり)

 この連載は、政治部の吉山隆晴、望月公一、日高徹生が担当しました。

2005年8月12日  読売新聞)
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