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    インタビュー

    鮮烈な響き、絶妙の連弾…ビョルン・レーマン&高橋礼恵

    • 「デュオでは、それぞれがソリストであり、オーケストラの一員のようなもの。瞬時に役割を変え、全体として良い響きを見つけ続けている」=関口寛人撮影
      「デュオでは、それぞれがソリストであり、オーケストラの一員のようなもの。瞬時に役割を変え、全体として良い響きを見つけ続けている」=関口寛人撮影

     絶妙に息の合った曲芸的な演奏を堪能するなら、ピアノのデュオ(連弾)が抜群だ。

     高橋礼恵のりえとビョルン・レーマンの夫妻コンビは、技術的難所を乗り越え、濁りのない響きの鮮烈な演奏を繰り広げる。


     ストラビンスキー「春の祭典」を収録したCD(アウディーテ)などでは、1台を弾きわける連弾を中心に驚異的なアンサンブルを披露する。

     4手20指が88鍵を駆ける連弾の楽曲は、意外とレパートリーが広い。シューベルトをはじめ、19世紀の作品の編曲、現代曲など様々だ。その中で技巧的な「春の祭典」は、オーケストラ曲を編曲した典型例。レーマンは「油絵のようなオーケストラ曲に比べて、鉛筆画のような味わい。繊細な筆遣いが魅力だ」と話す。

     デュオの最大の難しさは、「タイミングとバランス」。「それぞれの個性をすり合わせ、音が濁らないようにソノリティ(響き)を絶えず気にかけている」。動作的にも気が抜けない。手や体がぶつからないように「このパートでは、相手の下から手を入れる」などの入念な調整を重ねる。本番では勢い余って「ひっかくなど流血もたまにある」と笑う。通例は、低音部を弾く人が足元のペダルを全部踏むが、「機能しにくい場合、私たちは受け渡して交代する」と妙技は奥深い。

     2009年、「求める音楽像が同じなので、自然と一緒に弾くようになった」。「2人の演奏や性格のタイプが違うため、刺激し合ったり、補い合ったり出来ている。主導権は日ごとに変わる」と高橋。

     リストなども弾く高橋は「私が直感的な反面、彼は理知的。タッチの美しさも魅力」と評する。シェーンベルクなども得意とするレーマンは「音楽表現の効果をこれ見よがしにせず、響きの幅が多い」と相手を分析する。

     演奏では「一人で弾いている時には分からなかった楽曲の魅力の発見が面白い」と声をそろえる。相手が厳格なリズムを刻んでいるパートでは、「ギリギリずれるぐらいの自由さが許される」などと、即興的な装飾で楽曲を彩ることもある。

     デュオの魅力はまだ広く伝えきれてはいない。「演奏されていない素晴らしい編曲も多くある。マーラーの交響曲などもやりたい」とアイデアは尽きない。(岩城択)

    2016年01月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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