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    インタビュー

    KANが6年ぶり新作…豪華ゲスト、ポップ全開

    • 擬人化した桜が、悲しい曲ばかり歌われることを嘆く「桜ナイトフィーバー」は「コブクロへの皮肉です」=秋月正樹撮影
      擬人化した桜が、悲しい曲ばかり歌われることを嘆く「桜ナイトフィーバー」は「コブクロへの皮肉です」=秋月正樹撮影

     シンガー・ソングライター、KANが6年ぶりに新作を放つ。「6×9=53」(アップフロント)は、豪華ゲストを招き、フォークからPerfumeまでを下敷きにした色とりどりのポップスが並ぶ。流行にとらわれず職人気質と遊び心を詰め込んだ。(清川仁)


     Mr. Childrenのメロディーを解析し、スキマスイッチの詞を意識した「scene」、ドナルド・フェイゲンを想起させるAOR「どんくさいほどコンサバ」など、著名アーティストのスタイルに倣った楽曲が並ぶ。「ビートルズみたいな曲が作りたいと思ってやってきて、1990年代からは邦楽も好きになった。いい曲に先輩後輩もありません」と話す。

     佐藤竹善との共演で、サイモン&ガーファンクル風のハーモニーを奏でたのは「ポカポカの日曜日がいちばん寂しい」。「ドップラー効果イマイチなサイレン」などという詞が英語のように聞こえる。「音の響きで言葉をはめていく。完成図を知らないジグソーパズルみたいだった」。その結果、人生の曲がり角に立つ中年男性の哀感が浮かんだ。

     「日を決めず面白いものが仕上がったら出す」という構えで、満を持しての発売だ。テクノポップの「ブログ!ブログ!ブログ!」は、憧れの女性のブログ更新が楽しみだった自身の実話だ。途中、「ご報告」という題で彼からの求婚が発表される詞の展開も「何年かかけ詞を書いてる途中で婚約しちゃった。おかげで曲になった」と苦笑する。

     「全男性共通の思いなんで、いつかちゃんと歌わなきゃいけないと思ってた」というのは「胸の谷間」。疾走感のあるロックに似つかわしくない、男の悲しいさがが描かれている。「安息」は名曲にふさわしい歌詞が書けずに、2014年のツアーでは「ラララ」と歌っていた。自作は諦め、仲の良い桜井和寿がピッタリの歌詞を提供してくれた。

     「愛は勝つ」が200万枚のヒットを記録した1990年代。矢継ぎ早に新作を迫られ、「このサイクルで必死にやる意味を感じず、逃げた」。2002年から2年半、フランスで暮らした。現在53歳。

     音楽業界がCD不況にあえぐ中、新作では2曲で音楽への思いをつづる。自身のあふれる愛の一方、他人には強要しない寛容さが表れている。「僕らの頃のように真剣に聴かれることはもうないだろうけど、世の流れなので仕方ない。僕がやることは変わらない。たまたま聴いてもらえたらいい」

    2016年04月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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