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    音楽

    音楽はもはや聴くだけのモノではなくなった

    音楽評論家 小野島 大
     「若者はCDの再生機を持っていない」「ミリオン歌手なんて、もはや死語」――。音楽業界は、かつては販売枚数を競ったCDの売り上げ低迷が続いている。その一方、全国各地で「フェス」や「ライブ」と呼ばれる会場が大勢の観客でにぎわっているという。CDが売れない今、なぜフェスに耳目が集まるのか? 音楽評論家の小野島大氏がその魅力を探る。

    フジロックが築いたフェス文化

    • 大勢の人が熱狂したフジロック・フェスティバル(©Yasuyuki Kasagi)
      大勢の人が熱狂したフジロック・フェスティバル(©Yasuyuki Kasagi)

     音楽フェスティバルが花盛りだ。現在、日本では400を超えるフェスが開催されているという。動員10万人を超える大型フェスから、村祭りの延長のような小規模なものまで、1日に1回以上、全国のどこかで開催されている計算になる。

     大型フェスの老舗であり、代表格である「フジロック・フェスティバル」は20回目を迎えた今年も新潟県・苗場スキー場で行われ、晴天にも恵まれて、のべ12万人を大きく超える動員を記録した。

     今年から保護者同伴の中学生以下の子供が入場無料になったこともあり、来場者には親子連れが目立ち、白髪の熟年から子供まで幅広い年齢層でフェス文化が定着していることが実感できた。

    CDの売り上げは低迷

    • CDはもう聴かない?(画像はイメージ)
      CDはもう聴かない?(画像はイメージ)

     盛り上がりを見せるフェスとは対照的に、音楽CDの売り上げ低下が止まらない。一般社団法人・日本レコード協会の調査によれば、ビデオも含む音楽ソフト全体の生産金額は1998年に6075億円とピークを迎えているが、2015年には2544億円と急減。年々伸びている音楽配信の売り上げを加えても3000億円を超える程度で、ピーク時の半分以下に過ぎない。

     反面、コンサートの売り上げは着実に伸びている。一般社団法人・コンサートプロモーターズ協会の調査によれば、1998年に同協会の正会員社が扱ったコンサートの売上金額は711億円で、2015年には3187億円と大きく増やしている。

     同協会に所属しない小規模なライブハウス等の売り上げを加えれば、ソフトの売り上げ低下をライブの売り上げ増が補っている形だ。その主力となっているのが、フェスなのである。

     現在のフェス文化の基礎を作ったとも言えるフジロックの開催は、音楽ソフト売り上げ減が始まる直前の1997年からスタートしている。フジロックと並ぶ大型フェスの代表格「サマーソニック」と「ロック・イン・ジャパン」が始まったのが2000年で、それ以降、音楽ソフトの売り上げ急減と並行して、全国各地にフェスが急増した。

    2016年07月29日 10時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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