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    古家正亨の韓流NOW

    「ごちゃ混ぜの美学」でヒット

     韓国で社会現象化したドラマがつい先日、終了した。ケーブルテレビ局tvNで放送されたドラマ「わびしく燦爛さんらんな神―鬼<トッケビ>」がそれだ。


    • 「鬼」になったキム・シン(コン・ユ、左)と記憶喪失の「死神」(イ・ドンウク)らを主人公にした「わびしく燦爛な神―鬼〈トッケビ〉」((c)STUDIO DRAGON CORPORATION)
      「鬼」になったキム・シン(コン・ユ、左)と記憶喪失の「死神」(イ・ドンウク)らを主人公にした「わびしく燦爛な神―鬼〈トッケビ〉」((c)STUDIO DRAGON CORPORATION)

     呪いのせいで永遠の時を生きる鬼になってしまった、かつての高麗の英雄と、自分の過去を全て忘れてしまった記憶喪失の死神。そして、2人の前に、鬼の新婦と呼ばれる少女が現れる。ジャンルでいうと、ファンタジー・ラブコメディーで、昨年の大ヒットドラマ「太陽の末裔まつえい」を手掛けたヒットメーカー、脚本・キム・ウンスクと演出・イ・ウンボクのコンビの作品ということで、放送前から注目を集めていた。

     一体どのくらいのヒットだったかというと、ケーブルテレビ局で放送された歴代ドラマで、初めて平均視聴率20%を突破。地上波に置き換えると約40%になるといわれている。また、調査会社が全国の19歳以上の男女に最近のお気に入り番組を質問した結果、1位になった。この調査で、地上波でない番組が1位に選ばれたのは初めてという快挙だった。

     なぜこれほど受けたのか。いくつかの理由が考えられる。まず、今はやりの「ブロマンス」が描かれていること。男性同士の、親密だが性的なかかわりのない関係を表すこの言葉は、最近の韓国ドラマの主要なキーワードの一つになっている。女性視聴者の多いドラマの場合、こういったイケメン同士のロマンスに対する関心が高くなる。そんなブロマンスを演じるのは4年ぶりにドラマに出演し、昨年は主演映画が軒並み大ヒットしたコン・ユと、日本でも高い人気を誇るイ・ドンウク。2人が絶妙なやり取りを見せるのだ。

     もう一つは、単なるラブコメではなく、神秘的な作品に仕上げたことだろう。『鬼説話』という韓国の古典を素材に、鬼や死神を主人公とし、前世や転生、業、輪廻りんねという東洋的思考や哲学を盛り込み、これまでになかったタイプのドラマにしたことが、好評の理由と考えられている。いかにも韓国的なごちゃ混ぜの美学といえばいいだろうか。様々な素材を混ぜて食べる、韓国料理ビビンパプのおいしさに近いものを、筆者はこのドラマから感じた。

     ドラマのサウンドトラックも大人気となり、放送が終了した今も、韓国のヒットチャートの上位に入っている。日本では3月から、韓国エンターテインメント専門チャンネルのMnetで放送が始まる。今年は話題作が多いと言われる韓国ドラマ界だが、日本でも成功を収めるか、注目したい。

     (韓国大衆文化ジャーナリスト)

    2017年02月20日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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