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    ベルリン国際映画祭2017

    日本映画の上映続々

     ベルリン国際映画祭では、最高賞の金熊賞を争うコンペティション部門のほかでも、様々な部門で日本映画が上映されて、関心を集めています。

    「かもめ食堂」の、と言われなくなるかな(荻上直子監督)

    • レッドカーペットを歩く「彼らが本気で編むときは、」の(左から)荻上直子監督、桐谷健太さん、柿原りんかさん
      レッドカーペットを歩く「彼らが本気で編むときは、」の(左から)荻上直子監督、桐谷健太さん、柿原りんかさん

     一つは、コンペに次ぐ(といっていいでしょう)パノラマ部門に出品されている「彼らが本気で編むときは、」です。「かもめ食堂」などで知られる荻上直子監督の5年ぶりの新作で、生田斗真さん演じるトランスジェンダーの女性を主人公に、家族とは何かを問いかけ、母と子の関係について考えさせられる作品です。

     15日の公式上映には、日本や中国などからも生田さんのファンが駆け付けていました。レッドカーペットは大盛況で、上映終了後には観客が総立ちで拍手喝采。生田さんは「お客さん一人ひとりが楽しんでくださったのを空気で感じました。大変な撮影でしたけど、報われたなあという感じです。日本映画って面白いだろうって感じだよね」と、共演の桐谷健太さんと目を見合わせていました。

     その桐谷さんは「最後の拍手にしみじみとしました。また、ぜひ、この思いを味わいたいなという気持ちになりました」と感無量の様子。子役の柿原りんかさんも「思ってなかったところで笑ってもらったり、最後のところで泣いている声が聞こえたり。とってもうれしいなって思いました」と笑顔を見せていました。「きっとこれでしばらくは、『かもめ食堂』と(いう枕ことばが)つかないかな」と冗談交じりに語った荻上監督。パノラマ部門には観客賞があるので、ひょっとするかもしれません。

    今の日本の気分、映画に(石井裕也監督)

    • 観客の質問に答える「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の石井裕也監督
      観客の質問に答える「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の石井裕也監督

     また、気鋭の若手監督の作品を集めたフォーラム部門には、石井裕也監督の「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」が出品されています。若者に人気の詩人・最果タヒさんの詩集が原作で、現在の東京や、そこで暮らす若い男女の恋を描いています。15日の公式上映後の質疑応答では、テーマや色彩設計などについて、ハイレベルな質問が相次いでいました。

     主演の石橋静河さんは「Q&Aの時も、映画をしっかり見ているんだなというのを感じて、来られて本当に良かったなと思います」、池松壮亮さんは「東京の映画なので、ヨーロッパの人にどれだけ伝わるのか不安だったんですけど、通じる部分があるんだろうなと思いました」と語っていました。

     石井監督は上映終了後、ベルリンに移住した日本人女性から「言葉にはできなかったけど、自分たちが感じていた東京の息苦しさって、こういうことなんです」と声をかけられたといい、「今の日本の気分を映画にしたんだと改めて分かった。映画として成功したかなと思っています」と手応えを感じた様子でした。

    作品力で選ぶ公平さに感謝(吉田光希監督)

    • 「三つの光」の吉田光希監督
      「三つの光」の吉田光希監督

     同じフォーラム部門には、吉田光希監督の「三つの光」も出品されています。倉庫に集まって実験的な音楽を作る男女の姿を通して、創作行為における人間関係の難しさや希望を描いた作品です。自分の映画作りで経験したことが反映されているといい、人は誰でも表現者であるというメッセージも込められているそうです。

     出演者は、俳優は映画ワークショップ「シネマ☆インパクト」出身者で、ほぼ無名の俳優ばかりです。日本の記者としては、よくぞ見つけてくれた、という作品ですが、吉田監督は「ベルリンでは、俳優の日本での知名度は関係ないので、作品力で選んでくれている。むしろ公平だと思います」と、選んでくれた映画祭に感謝していました。

     こういうインディーズ映画も全国ロードショーされる映画も、同じ土俵で海外の観客やメディアの目に届くのが、映画祭の面白いところだと思います。ベルリンのフォーラム部門から世界に羽ばたいていった監督はたくさんいます。フォーラム部門への出品は2度目の吉田監督。これからの活躍に注目したいと思います。

    (文化部 田中誠)

    2017年02月16日 14時33分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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