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    最終演目は「新世界から」…下野竜也、読響首席客演指揮者を退任へ

    • 「これまで口には出さなかったが、常任指揮者を支える立場としての緊張感は強く、いつも楽団の演奏水準を落とさないよう努めてきた」=池谷美帆撮影
      「これまで口には出さなかったが、常任指揮者を支える立場としての緊張感は強く、いつも楽団の演奏水準を落とさないよう努めてきた」=池谷美帆撮影

     実力派指揮者の下野竜也が3月公演を最後に、読売日本交響楽団の首席客演指揮者を退任する。最終演目となるドボルザーク交響曲「新世界から」などの選曲に、下野の温かな人柄と好奇心がにじむ。

     2006年11月から正指揮者として約6年半、続けて首席客演で4年。3月末で読響と一つの区切りを迎える。任期中にドボルザークの全交響曲の演奏を果たした。その最初だったのが「新世界から」。「思い出の曲で締めくくりたかった」

     「家路」の名で親しまれる美しい旋律が印象的だ。しかし、「凝った革新性も忘れてはならない。第4楽章には、それまでの旋律などが回想のように現れ、全体を通して物語が完結する。計算された構成にいつもゾクゾクする」と強調する。

     有名曲ゆえの旧弊も廃する。今回、研究成果などを書き込んだパート譜を初めて自分で作る。「新鮮な気持ちで譜面と向き合い、作曲家と対話したい。おいしい旋律が回転ずしのように次々と出てくるので、焦点が散漫にならないようにし、交響曲作家としてのすごみを感じさせたい」と意気込む。

     チェコの大作曲家が米国で作曲した定番曲と組ませるのは、フィリップ・グラス(米国)の「バイオリン協奏曲第1番」(独奏・三浦文彰)。さらに意表を突き、パッヘルベル「カノン」も据える。音型が反復するミニマル・ミュージックの代表格に対し、「元祖繰り返しの曲という洒落しゃれ」。演目構成の妙でうならせてきた下野の面目躍如だが、「カノンは古典回帰の流れに逆行して壮麗に奏でる。オルガンも入れ、面白い楽器配置を考えているのでお楽しみに」と、ニンマリだ。

     読響との約10年間。「日本初演も多く印象深いことばかり」。ライマンのオペラ「メデア」「リア」は「演奏史に残る」と自負する。ヒンデミット作品、フサ「この地球を神とあがめる」、フィンジ「霊魂不滅の啓示」……。東日本大震災では「音楽が出来る状況か。微力でも社会に貢献しなければ」と楽団と苦悩した思い出もよみがえる。「読響とは家族でした」

     一方、飛躍に向けた助言も残す。「作品への柔軟性はトップクラス。今後は、どんなに激しく熱演しても、響きがやせないことを心掛けなければ」と力を込める。

     4月から広島交響楽団の音楽総監督に就く。初めての「シェフ」の役割に不安もある。「足腰軽く街に飛び出してPRし、軸のしっかりしたひねった演目も披露したい。5年後には、平和都市『ヒロシマ』の楽団として欧米やアジアで公演するのが夢」

     3月18日(完売)、19日午後2時・東京芸術劇場。20日同・横浜みなとみらいホール。(電)0570・00・4390。

    (岩城択)

    2017年02月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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