完成度映画級「CRISIS」…春の連ドラ記者座談会
民放各局の春の連続ドラマが始まりました。記者が様々な感想を語り合う恒例の座談会です。良作ぞろいの今期で目立ったのは、警察ドラマでした。今回、出席者には、強烈な新キャラも登場。言いたい放題の場がさらに白熱しました。
「釣りバカ」ハマちゃん板につく
祐 今期のドラマは豊作で、甲乙つけがたかった。記者票1位は僅差で「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」。
淵 映画みたいな完成度! ダイナミックなアクション、独特の緊迫感、この企画を考えた直木賞作家の金城一紀は、天才。あと特筆すべきは音楽! 「澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO」とあるけど、要注目。動きと連動し、せりふがない場面でも心情を代弁し、すご技ですね。
花 アクションも特訓した成果が出てました。
弥 派手ですごくかっこよかったのに、最後に小栗旬演じる主人公が女をくどくシーンで興ざめ。★一つ減。ちなみに公安機動捜査隊って、実は地味な仕事が多いんだって。
祐 一方、2位はアクションとは無縁の「釣りバカ日誌 Season2 新米社員 浜崎伝助」。主演の濱田岳は前に取材で「子どもたちからハマちゃんと呼ばれたい」って言ってたけど、もう板についている。
星 ゲストの松平健が白馬に乗って、暴れん坊将軍のように現れるシーンがツボ。この作品以外★5はつけないと決めたぐらい。
花 面白かったですけど、価値観が昭和。奥さんに「すてきな料理を並べて今日もお疲れさまと言ってほしい」というハマちゃんの感覚は、現代女性は共感できない気が。
淵 「小さな巨人」は、見始めて10分で「警察版の『半沢直樹』やん!」て突っ込んだわ!
祐 ほとんどが「半沢」のスタッフだけど、福沢克雄監督は今回は監修。後継に経験積ませようとしてるんだな。
弥 警視庁の人事に焦点を当てたのは視点が変わってて面白い! 階級や昇級試験の仕組みをCGを使って説明して、わかりやすかった。
星 同じTBSでも「リバース」は評価が分かれたな。俺は主演の藤原竜也の演技が暑苦しくてギブアップ。
淵 えー。藤原が深瀬というボケ倒す役を演じているからこそ、友人の裏切り、若さ故の残酷さが際立つ。見事なコントラストや!
弥 昨年秋の「砂の塔」もそうだったけど、気鋭の塚原あゆ子監督の演出は続きが気になって目が離せなくなる。続きが気になるといえば、「母になる」も。「Mother」とか、日テレが描く母親のドラマは毎回泣いてしまう。産みの親と育ての親、今後どうなっちゃうの?
星 子供を誘拐された母を演じた沢尻エリカの
祐 出た!「リアリティーの星野」。
星 変な異名付けるなよ。
視聴率トップ「緊急取調室」
花 視聴率1位は「緊急取調室」でした。ゲストの三田佳子の二転三転する供述に
弥 シーズン2とはいえ、初回なんだからプロの取調官の力量を見せて、犯人を落としてほしかった。
星 同じテレ朝の「警視庁・捜査一課長(season2)」は“ザ・2時間ドラマ”。こちらもシーズン2だけど、新作よりも、評判の良いものを徹底してやる、テレ朝の戦略勝ちだな。どの出演者も派手さはないけど、名脇役ばかりで手堅い。
「警察もの」が好調 豪華な「貴族探偵」
祐 キャストといえば、豪華なのが「貴族探偵」。でも、初回で、主演の相葉雅紀が始まって15分後に出てきたのには驚いた。貴族に見えないし。
花 ドラマに求めるものが詰まってます。貴族らしさを出すため、テントやティーセットなどに7000万円かけたほどのこだわりぶりです。
淵 びっくりぽんや。原作ファンからは、「よくあの世界観を表現した」と評価高いらしいで。
星 同じジャニーズ主演の「ボク、運命の人です。」は、12年ぶりの共演となる亀梨和也と山下智久の掛け合いが絶妙。漫才コンビのような呼吸で、細かくずらして笑いを重ねていくのが好き。
祐 タイトルがチャラくて、僕みたいな硬派な男性には向かないかな。「女囚セブン」は今期では一番面白かった。女性刑務所という設定が斬新。剛力彩芽はワケありの役で新境地を開く気がする。
弥 悲恋物に弱い私は「フランケンシュタインの恋」がすごく好き。ジョニー・デップ主演の映画「シザーハンズ」をイメージしたんだって。RADWIMPSの曲を使ったエンディング、最高すぎる。
花 私はキノコが気持ち悪かったです……。
祐 深い森の孤独な世界に奥行きを感じるような映像効果の演出は見事。
淵 綾野剛をめでるためのドラマやな。
祐 ダブル不倫を描いた「あなたのことはそれほど」は東出昌大の怪演が怖かった。
淵 でも、夢見る主人公についていかれへん。
弥 原作マンガと同様、人の嫌な部分を前面に出して、振り切ればよかったのに。
星 「人は見た目が100パーセント」もマンガ原作。地味なリケジョの桐谷美玲がはまってた。白目をむき、鼻血を出し、体を張っていた。
淵 「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」は、骨に詳しい標本士のはずなのに、心理学で謎解き。骨関係ないやん! つーかベラドンナの毒性は警察が絶対に調べるやろ。全体的に雑。
星 原作と設定を色々と変えたのが裏目に出た感じ。
花 原作ものはさじ加減が難しいですね。変化のつけ方で評価が分かれるというか。
淵 楽しければええわ。あめちゃん、食べる?
星 え? そういえば、なんすか、そのおなかに描かれた大きな獣の顔は。
弥 すごーい。新しいフレンズなんだねっ。
淵 今日は初登場やから、勝負服。ユキヒョウのユキちゃんや。はやりのサーバルキャットとはちゃうで。
花 これが大阪のおばちゃん名物のヒョウ柄シャツですか。この迫力でドラマも斬りまくってほしいですね。