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    カンヌ国際映画祭2017

    70回式典とテロ追悼、河瀬監督の目に「光」

     カンヌも後半戦に入りました。23日は盛りだくさんの一日でした。

    • 70回を祝う式典の前には、女優のニコール・キッドマンさんら映画祭に参加したスターや著名な監督らがレッドカーペットに勢ぞろいした
      70回を祝う式典の前には、女優のニコール・キッドマンさんら映画祭に参加したスターや著名な監督らがレッドカーペットに勢ぞろいした

     今年で70回目を迎えたカンヌ。夜には記念のセレモニーが行われました。私は招待客ではないので会場には入れませんでしたが、レッドカーペットの脇の大型画面で、ウィル・スミスやニコール・キッドマンといった大スターや、デヴィッド・リンチを始め、過去に最高賞のパルムドールを受賞した監督らが、レッドカーペットを歩くのを眺め、華やかな雰囲気を味わいました。

    • 英マンチェスターのテロの犠牲者に黙とうをささげる映画祭主催者たち
      英マンチェスターのテロの犠牲者に黙とうをささげる映画祭主催者たち

     一方、昼には、英マンチェスターで起きた自爆テロを受け、映画祭の主催者らが主会場のレッドカーペットに整列し、犠牲者やその家族らのために、約1分間の黙とうをささげました。映画祭は公式HPで「マンチェスター市と市民に対する攻撃は、文化、若さ、喜び、自由、そしてアーティスト、プロフェッショナル、観客が喜ぶすべてのものに対するもう一つの攻撃です」とコメント。映画祭を訪れた人にも黙とうへの参加を呼びかけ、いつもはにぎやかな会場周辺が静寂に包まれていました。

     そして日本映画にとってもこの日がハイライト。コンペティション部門に出品されている「光」の記者会見、公式上映がありました。上映開始が45分遅れ、取材を終えてホテルに戻ったのは深夜の1時過ぎとなりましたが、疲れを忘れるほど感動的でした。

     「光」は、視力を失っていく男性カメラマンと視覚障害者向けに映画の音声ガイドを制作する女性の交流を通し、大切なものを失った者が、新たな希望を見つける物語。上映終了後の拍手の大きさや長さは、観客の作品に対する評価の表れだと思いますが、拍手が約10分続きました。10分、その場にいるとかなり長く感じます。列席した河瀬直美監督、永瀬正敏さん、水崎(みさき)綾女(あやめ)さん、神野(かんの)三鈴(みすず)さん、藤竜也さんら出演者は抱き合って感動を分かち合い、目には、映画のタイトルではありませんが、光るものがありました。

    • 「光」の記者会見に出席した河瀬直美監督(中央)、永瀬正敏さん(右)ら。藤竜也さん(左)は「カンヌはお金を出せばいつでも来られます。カンヌ映画祭はいくらお金を出しても来られません」と答え、会場の笑いを誘った(写真はいずれも田中誠撮影)
      「光」の記者会見に出席した河瀬直美監督(中央)、永瀬正敏さん(右)ら。藤竜也さん(左)は「カンヌはお金を出せばいつでも来られます。カンヌ映画祭はいくらお金を出しても来られません」と答え、会場の笑いを誘った(写真はいずれも田中誠撮影)

     その後の合同取材では、河瀬監督は「言葉にならないものが自分の中にこみ上げてきて、整理ができないまま(ここに)立っています」「映画を作ることも生きていくことも孤独だから、瞬間でも一体感を持てた時の喜びはかけがえがないと今感じています」と語り、魂を注いだ映画が、最高の形で観客に迎えられた喜びが伝わってきました。

     午前中に行われた記者会見では永瀬さんが、「一生懸命作った映画が、カンヌで上映していただくことで、世界中に広がる大きなきっかけになる。僕たちにとっても大切な素晴らしい場所だと思います」とカンヌへの思いを語り、河瀬監督も「私たちは必ずこの世界からいなくなる。でも、作った映画は永遠に残り続けると信じたい」と力を込めていました。

     受賞結果の発表は28日夜(日本時間29日)。どんな結果になるか、楽しみです。

    (文化部 田中誠)


    映画「光」公式サイト
    河瀬直美監督 映画『光』カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出決定

    2017年05月25日 11時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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