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    「秋元康の1分後の昔話」&「AKBギャラリー」

    【秋元康コラム】大人前夜

    思春期の葛藤をどう描こうか?

    • 画・西澤瑠莉奈
      画・西澤瑠莉奈

     7月19日に欅坂けやきざか46ファーストアルバム「真っ白なものは汚したくなる」が発売された。

     タイトルは、子供の頃、新品のスニーカーを下ろした時の気持ちと、思春期の純粋さゆえの葛藤をイメージしている。

     まだ、染み一つない新品のスニーカーで、ぬかるんだ道の水たまりをズボズボと歩きたくなったのはなぜか? いつか汚れてしまうなら、せめて、自分の意思でと思ったのではなかったか?

     汚れた大人の世界と接するうちに、「真っ白なままでいたい」という自分と、「いっそのこと、早く汚れてしまいたい」という自分が対立している思春期の葛藤を描きたかった。

     アルバムのリード曲「月曜日の朝、スカートを切られた」は、日々、理不尽なニュースが社会をにぎわす中で、悲鳴さえも上げずにめた目で見ている少女たちのしらけ方がテーマである。そして、サビで叫ぶ。

     「あんたは私の何を知る?」

     今の時代、みんな、ネットでつながって、“知っているような気になっている”だけで、誰もお互いのことなんか知らないのだ。

     欅坂46の歌は暗いと言われることがある。中二病(思春期に当たる中学二年生頃の自意識過剰やそれによる背伸びしがちな言動のこと。厨二病ちゅうにびょうともいう)をターゲットにしているのか?とも言われるが、それも特別に意識したことはない。

     欅坂46には、大人とどう接していいかわからず、うつむいてしまうメンバーが多い。自分ももう、大人の仲間入りをしているのに、それを受け入れられない戸惑い。芸能界という特殊な世界で、否応いやおうなく、大人扱いされることへの違和感。彼女たちが歌って説得力のある世界を書こうとすると、今は、「大人前夜」の心情になってしまうということかもしれない。

     もちろん、そこから先、大人という日付変更線を超えた彼女たちの世界を描いた作品もある。

     遠い昔に大人になってしまった読者の皆さんにも、欅坂46ファーストアルバム「真っ白なものは汚したくなる」を聴いていただきたいと思う。僕たちは、もう、「汚れたものを洗いたくなる」世代かもしれないが……。

     (AKB48グループ、坂道シリーズ総合プロデューサー 秋元康)

    • 西澤瑠莉奈
      西澤瑠莉奈

    西澤 ( にしざわ ) 瑠莉奈 ( るりな ) 18(NMB48)

     グループのイラストエースは創意工夫を欠かしません!「タイトルにちなんで物理的に汚してみました。今回はいつもと絵柄が違うのです。一つ一つの線が細かいものも描きたくて挑戦してみました。キリッと鋭い表情とマッチしてよかったです」

    西村 ( にしむら ) 菜那子 ( ななこ ) 19(NGT48)

     アイドルになるため先生に何も言わずバレエをやめたそうです。「最近、教室に私のポスターを飾ってくださったことを知りました。先生、あの時はごめんなさい。ビッグになったら会いに行っていいですか?」

    • 画・西村菜那子
      画・西村菜那子
    • 西村菜那子
      西村菜那子
    2017年08月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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