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    読響

    音楽の物語と一体に コルネリウス・マイスター

     ドイツのコルネリウス・マイスターが9月、読売日本交響楽団の首席客演指揮者に就任後、初めての演奏会に臨む。才気煥発(かんぱつ)な37歳は、楽曲の内奥に向けるまなざしも愚直なまでに純真だ。(岩城択)

    読響首席客演指揮者 9月に就任後初の演奏会

    • レパートリーは幅広く、世界初演も多い。「現代曲はスタイルが多様なので、苦手意識がある人も気に入る1曲が見つかるはず」 
      レパートリーは幅広く、世界初演も多い。「現代曲はスタイルが多様なので、苦手意識がある人も気に入る1曲が見つかるはず」 

     「音楽は単に音楽なのか。否、音や響き以上の意味を持ち、背後に物語を抱える」と純朴に語る。好例として、ベートーベン「交響曲第6番〈田園〉」を挙げる。9月16、17日(池袋・東京芸術劇場)と18日(横浜みなとみらいホール)のメイン演目だ。「雷鳴を伴う嵐や晴れ間の印象的な場面など、私は音楽と完全に一体となり、郊外の自然に包まれた気分を味わう」

     読響とは2014年から共演を重ね、4月に現職に就いた。「演奏家の最も大事な能力は聴き合えること。仮に管楽器のソロなどのテンポが揺らげば、瞬時に寄り添わないとならない。だから、3公演は同じ曲でも違った演奏になる」。他の演目は、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」(独奏=ダニール・トリフォノフ)ほか。

     12月12日の定期(東京・赤坂・サントリーホール)では、マーラー「交響曲第3番」に挑む。「マーラーの作品には、非常に個人的な秘密の要素が織り込まれており、新たな発見が尽きない」。20年3月までの任期中、マーラーに取り組み続ける。「欧州文化の薫り高いロマンチックな大曲と、ベートーベンやハイドンなど古典派の二つの方向性を続けたい」

     ひのき舞台を駆け上がってきた。21歳で独ハンブルク国立歌劇場にデビュー。ウィーン放送響首席指揮者兼芸術監督を務め、18年シーズンから独シュツットガルト歌劇場音楽総監督に就く。音楽一家に育ち、ピアノやチェロ、ホルンを学んだ。「奏者がいかに独自の音を創造するかを知っているので指揮に役立っている」と話す。

     読響常任指揮者も務めた巨匠ゲルト・アルブレヒトに薫陶を受けた。ピアニストとして共演した17歳の時、「指揮者になりたいのでは」と心の内の萌芽(ほうが)を指摘された。譲り受けたマーラー「交響曲第6番〈悲劇的〉」などの楽譜を愛用する。

     慎み深く柔和な物腰だが、好奇心とウィットに富んでいる。ハーフマラソンをよく走るのは、かつてラトビアでワーグナー「ニーベルングの指環(ゆびわ)」を上演した際、現地で「音楽に良い効果があるかも」と挑戦したことがきっかけ。「走り始めはいつも音楽のことを考えているが、最後はどうしたら完走できるかだけ」。日本では能を()て「精密で完全な演技に感動し、影響を受けた」と振り返る。「もっとも、最初は舞台で何が起きているか理解できなかった。45分後、観客が席を立ったので『終わった』とほっとしたら、休憩でした」と、いたずらっぽく笑った。

     演奏会のチケットは電話0570・00・4390へ。

    2017年08月14日 14時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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