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    ベネチア国際映画祭2017

    キャリア重ね、また一緒に…フォンダとレッドフォード

    • 栄誉金獅子賞を受賞したジェーン・フォンダ(左)とロバート・レッドフォード © La Biennale di Venezia - foto ASAC
      栄誉金獅子賞を受賞したジェーン・フォンダ(左)とロバート・レッドフォード © La Biennale di Venezia - foto ASAC

     ベネチア国際映画祭では毎年、特筆すべきキャリアを持つ映画人に生涯功労賞である「栄誉金獅子賞」が贈られています。今年の受賞者はジェーン・フォンダとロバート・レッドフォードというアメリカの大御所2人。2人とも行動することで社会に大きな影響を与えてきた俳優です。レッドフォードはサンダンス・インスティチュートを設立し、サンダンス映画祭などを通して、新しい映画監督たちの才能やインディペンデント映画を支援し続けていることでも知られていますよね。

     フォンダとレッドフォードは、ネットフリックス製作の新作「Our Souls at Night/アワー・ソウルズ・アット・ナイト(原題)」で、「出逢(であ)い」(1979年)以来の共演を果たしており、賞の授与に合わせて特別上映が行われました。

     共に配偶者に先立たれた大人の男女のラブストーリー。ルイス(レッドフォード)とアディ(フォンダ)は長年、近所に暮らしていますが、お互いのことをほとんど知りません。が、そんな2人の関係にある日、変化が起きます。始まりは、「一緒に眠ってほしい」というアディによる突然の提案。それは、肉体関係ではなく、精神的な関係を求めてのこと。孤独な2人は、ぎこちなく夜を一緒に過ごし始め、徐々に心を許し合う関係になっていきます。監督は、「めぐり逢わせのお弁当」のリティーシュ・バトラ。サンダンス出身の気鋭です。

    • 「Our Souls at Night」の一場面。© Kerry Brown
      「Our Souls at Night」の一場面。© Kerry Brown

     公式上映の前に開かれた記者会見で、「死ぬ前に彼女ともう一本、一緒に撮りたかった」とレッドフォード。そして「今の自分たちの年齢にぴったりの作品を見つけた」そうです。フォンダも、レッドフォードと「もう一度恋に落ちたかった」と言っていました。「彼が作り上げたサンダンスは、最も深い形でアメリカ映画界を変えた。アメリカ映画界に深い影響を与えた人物と仕事がしたかった」とも。

     サンダンスを続けるレッドフォードは「成功を手に入れた時、それを自分のために使うこともできるけれど、誰かに新たなチャンスを作り出すこともできる。自分の場合は、後者のほうが気分がいい」と語っていました。今の社会で最も重要なことは「未来の世代に責任を持つこと」だとも。フォンダが新作の内容に絡めて「いくつになっても遅すぎることはない。勇気を持ってリスクをとれば」と言っていたのも心に残りました。

     有言実行の人たちの言葉の重みに、かっこいいとはこういうことさ、と、どこかで聴いたことのあるフレーズを思い出してしまいました。

    深刻だが乾いた味わい、かっこいい孤高のヒロイン

    • 「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」の一場面 © 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
      「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」の一場面 © 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

     かっこいいといえば、4日に行われたコンペティション作品の試写で、恐ろしく魅力的な孤高の女に出会いました。ロンドン生まれのマーティン・マクドナー監督による「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri/スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)」でフランシス・マクドーマンドが演じるヒロインのミルドレッドです。

     ミルドレッドの娘は7か月前に誘拐され、性的暴行を受け、殺されています。でも事件は未解決のまま。業を煮やした彼女は、町はずれにある三つの大きな屋外広告板を借りてメッセージを発信します。それは、町の警察にとっては、かなりばつの悪いもの。さまざまな騒動が起こり始めるのですが、彼女は決してひるみません。まるで西部劇のヒーローのように。

     ブラックな笑いとギリシャ悲劇のような構造を併せ持つ魅力的な作品。とてつもなく深刻なはずなのに、からりと乾いた不思議な味わいは、マクドーマンドが演じるヒロインから醸し出されるもの。その毒舌とジャンプスーツ(いわゆる、つなぎですね)姿もなんとも素敵(すてき)。彼女に反発し、暴走する警官(サム・ロックウェル)をはじめ、周囲で繰り広げられる人間模様も見ものです。

     やっぱり今年のコンペティションは粒ぞろいなように感じます。同部門に選出されている是枝裕和監督の「三度目の殺人」の公式上映はいよいよ、現地の5日夕方に行われます。(文化部・恩田泰子)

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    2017年09月05日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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