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    ベネチア国際映画祭2017

    2作品が下馬評リード、初のVR部門にも注目

     8月30日から始まった第74回ベネチア国際映画祭も、9月9日夜(現地時間)に閉幕式を迎えます。

     7日までの時点で、コンペティション部門21作品のうち19作品の試写が終わりました。これを書いている時点では、まだ2作品の試写が残っているわけですが、現地の映画誌や国際批評家連盟の採点表(ジャーナリストや批評家による、いわゆる「星取り表」)では、これまでのところ、2本の映画がリードしています。

     その2本とは、「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri/スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)」(マーティン・マクドナー監督)と「The Shape of Water/ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(同)」(ギレルモ・デル・トロ監督)です。いずれもこのリポートで既にご紹介している、私のお気に入り作品。このまま受賞しても文句なしですが、映画祭の賞はあくまでも審査委員たちが決めるもの。どんな結果になるかは、まだまだわかりません。

    心に残った「ラ・ヴィラ」と「嘉年華」

    • 「La Villa」©AGAT Films
      「La Villa」©AGAT Films
    • 「嘉年華」©22 Hours Films
      「嘉年華」©22 Hours Films

     私自身に関して言えば、上記の2本に加えて、フランスのロベール・ゲディギャン監督「La Villa/ラ・ヴィラ(同)」と、中国のヴィヴィアン・チュイ監督「嘉年華(同)」も、強く心に残っています。

     名匠・ゲディギャンによる「La Villa」はマルセイユに近い海辺の町を舞台にした家族の物語。父親が病に倒れ、久しぶりに顔をそろえた中年世代の子供たち3人が、自分たちの過去と未来、そして、父親世代の現在を、改めて見つめ直す――というお話です。一見すると、たくさんおしゃべりをして恋をする軟派なフランス人の物語。でも、芯にあるものはとても硬派。時がたつ、ということの残酷さや、経済至上主義が破壊するものをしっかり映し出しながら、より良き未来をつむいでいくために必要なものを浮き彫りにしていく秀作でした。

     「嘉年華」は、今回のコンペ唯一の女性監督であるチュイが描く十代の少女たちの物語。海辺の町のモーテルの雑用係として働く少女と、宿泊客としてやってきた少女ふたり。彼女たちに起きた事件を通して、女であること、そして中国社会の現在を浮かび上がらせていきます。女性が、女性であることを謳歌(おうか)しながら、この世界で生き抜いていくために必要なことをしっかりと見据えた作品。これ、女性の心に響く作品だと思います。

     そしてやっぱり気になるのは、是枝裕和監督の「三度目の殺人」のこと。私は、ベネチアで見たのが「三度目」ですが、見るたびに新たな発見のある作品。考え抜かれた脚本、俳優たちの繊細な一挙一動がどう評価されるでしょうか。

     ところで、今回のベネチアでは、VR(バーチャルリアリティー)部門が新設され、VR作品のコンペティションも行われました。映画は、編集や照明などあらゆるテクニックを磨きながら、作り手の視点を浮かび上がらせてきました。が、VR作品の場合、どこを見るかを決めるのは観客です。審査委員長のジョン・ランディス監督は、映画祭初日の記者会見で、その視点の問題に言及しつつ、作り手たちがどんなふうに新たな技術を活用しているか「学びたい」と言っていました。

    心象風景に入り込む「デザーテッド」

     上映会場が少し離れた場所にあったため、私は数本しか見ることができなかったのですが、そのうちの一本にとても感銘を受けました。台湾のツァイ・ミンリャン監督が、ずっと一緒に仕事をしてきた俳優、シャオカンことリー・カンションを主人公にとった「デザーテッド」です。廃虚、水の音、深い緑。シャオカンの心象風景の中に入り込んだかのような気分になる作品。主人公と映像を一体化させれば、VR作品が抱える「視点」の問題は解決されるようにも思いました。ちなみにシャオカンが入っているお風呂に入り込んでしまったかのように感じるシーンもありましたよ。

    • 「デザーテッド」Photo by Chang Jhong Yuan
      「デザーテッド」Photo by Chang Jhong Yuan
    • VR部門ではこんな形で鑑賞する作品も
      VR部門ではこんな形で鑑賞する作品も

    あの「スリラー」の3Dもお披露目

    • 「Michael Jackson’s Thriller 3D」
      「Michael Jackson’s Thriller 3D」

     ところで、ランディスといえば、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオ「スリラー」を手がけた監督でもありますが、今年のベネチアでは、その「スリラー」の3D版のお披露目上映も行われました。いそいそと見に行ったのですが、ダンスシーンは飛び出す、というよりも、マイケルをはじめ、踊っている一人一人がくっきりと浮き立っている感じ。ちょっとけれん味が増して面白かったですが、びっくりするほどではないというのが偽らざる感想。でも、最後に、ここを飛び出させたか!という仕掛けがあり、そこは何ともにくいなあと思いました。

     しかし、会場で知り合いと並んで、3D眼鏡をかけて上映が始まるのを待っている間のわくわく感といったら! 着席した時から映画の楽しみというのは始まっているのですね。(文化部・恩田泰子)

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    2017年09月08日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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