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    第30回東京国際映画祭

    会見に歌舞伎座に、委員長ジョーンズ大忙し

    ◆審査委員会見

    • コンペティション部門の審査委員たち。(左から)永瀬正敏さん、マルタン・プロヴォさん、トミー・リー・ジョーンズさん、ヴィッキー・チャオさん、レザ・ミルキャリミさん
      コンペティション部門の審査委員たち。(左から)永瀬正敏さん、マルタン・プロヴォさん、トミー・リー・ジョーンズさん、ヴィッキー・チャオさん、レザ・ミルキャリミさん

     東京国際映画祭2日目の26日午前、今年のコンペティション部門の審査委員5人による記者会見が行われ、映画祭の核となる部門の審査に臨むにあたっての思いを語りました。

     中国の人気女優で、映画監督でもあるヴィッキー・チャオさんは、「多種多様な映画を選んでくださいまして、ありがたいと思っています。審査委員の皆さんと最適な判断をして、観客の皆さんに最高の映画をオススメしたい」と語り、日本から参加の俳優、永瀬正敏さんは、「ノミネートされている15本は、それだけですばらしい作品だということが証明されていると思います。僕が気をつけるのは、全部の作品にグランプリを与えないようにすることですね」と、ユーモアを交えたあいさつで周囲を沸かせていました。

     しかし、どんな作品に賞を与えるのでしょう。審査の基準について問われたフランスのマルタン・プロヴォ監督は「難しい質問ですけれども、自分が審査委員だということを忘れて、なるべくシンプルでオープンな心を持って、一人の観客として、映画を見たいと思っています。いい作品であれば、心に直接届くものがありますので」と説明。審査委員長を務める米国の俳優、トミー・リー・ジョーンズさんは、「完成度の高いものを求めています。焦点の合っているもの、物語の整合性が取れているもの、色の使い方など映画作りの全ての要素がうまくいっているもの。あとは人間味という要素です」と熱弁を奮いました。かなりハードルが高そうです。

     また、「映画とは?」という質問には、「人生を一言で説明してくださいと言われてもムリですよね?」(イランのレザ・ミルキャリミ監督)などと困惑気味の審査委員もいる中、さすがはジョーンズさん。「お金です。なぜなら、映画を作るのにはとてもお金がかかるからです」と、冗談なのか本気なのか分からない答えで笑いを誘い、会見を締めくくりました。(文化部 田中誠)

    デジタル復元版「地獄門」上映と海老蔵さんの舞踊の“競演”

    ◆歌舞伎座スペシャルナイト

     この日の夕方は、東京・東銀座の歌舞伎座で、東京国際映画祭の名物イベント「歌舞伎座スペシャルナイト」が行われました。

     2014年から始まったこのイベント、名画と歌舞伎俳優の舞台を両方楽しめます。今回は、衣笠貞之助監督の「地獄門」(1953年)と、市川海老蔵さんの舞踊「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」というプログラム。

     赤いカーペットが敷かれた歌舞伎座の中は“よそゆき”のムード満点。いよいよ「地獄門」の上映がスタートします。この作品は大映初の総天然色映画で、今回上映されたのはデジタル復元版だったのですが、60年以上前の製作とは思えない色鮮やかさ。上映終了後に拍手が湧き起こるなど、映画館とはひと味ちがった雰囲気は、歌舞伎座という場所によるのでしょうか? 長谷川一夫、京マチ子ら俳優陣のきらびやかな衣装は、歌舞伎にも通じる日本の伝統美を感じさせてくれました。

     そしていよいよ、海老蔵さんの舞踊が始まりました。海老蔵さんは、恋人の傾城のもとへ向かう江戸で一番の伊達男(だておとこ)、という設定。恨みを持った男たちが襲いかかってくるのですが、海老蔵さんは難なくクリア! 一人また一人と、倒していく場面でみえを切ると、外国人の観客からも拍手が。

    • 歌舞伎座正面でフォトセッションに臨んだ市川海老蔵さん(左)とトミー・リー・ジョーンズさん
      歌舞伎座正面でフォトセッションに臨んだ市川海老蔵さん(左)とトミー・リー・ジョーンズさん
    • イベント終了後の歌舞伎座正面。いい雰囲気です
      イベント終了後の歌舞伎座正面。いい雰囲気です

     開演前に歌舞伎座正面で行われたフォトセッションで、海老蔵さんは「歌舞伎はバレエ、オペラと同じように様式美がございます。海外の方にも風情や雰囲気を味わっていただければ」と話していましたが、その言葉通り、歌舞伎に詳しくない人でもぐっと引きこまれるような艶と華のある舞踊でした。

     ちなみに、このフォトセッションにはコンペティション部門のトミー・リー・ジョーンズ審査委員長が登場。日米の大物役者のツーショットには、通りがかった人々からも歓声が湧き起こりました。こんなサプライズが用意されているのも、映画祭ならではの楽しみの一つでしょう。

     時代劇映画はもともと、役者の立ち居振る舞いや衣装など、歌舞伎の影響を受けて発展してきた歴史があります。「映画はよく見るけれど、歌舞伎は敷居が高いな……」と感じている人にとっても、日本文化に触れたいと思っている外国人にとっても、このイベントは気軽に歌舞伎を楽しめる絶好の機会だなと感じました。

     しかし、ジョーンズさん、序盤から大車輪ですね。(文化部 武田裕芸)

    2017年10月27日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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