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    読響

    カンブルラン集大成…18年度の読響

     読売日本交響楽団の2018~19シーズン(18年度)プログラムが決まった。常任指揮者シルヴァン・カンブルランは任期最後のシーズンとなり、3期9年の集大成というべき、バロックから現代まで西洋音楽史を概観する演目で臨む。客演指揮者やソリストたちにも、それぞれこだわった多彩なプログラムを並べている。(文化部 池田和正)

    透明感と明るさ引き出し9年目へ

    • 「作品に向かうとき他の録音は聴きません。自分で納得できるまでスコアを読み込み、体になじませます」と語った=飯島啓太撮影
      「作品に向かうとき他の録音は聴きません。自分で納得できるまでスコアを読み込み、体になじませます」と語った=飯島啓太撮影

     2010年4月に第9代常任指揮者に就いたカンブルランは、メシアン作品に代表されるフランス音楽や現代曲に積極的に取り組み、ドイツ系音楽をレパートリーの中核に据えてきた楽団に新風を吹き込んだ。「私のこよなく愛するオーケストラ」と語る「読響」との歩みと、最終シーズンへの意気込みを聞いた。

     「指揮者として常に気にかけているのは、透明感と明るさを引き出すこと。そのためには緻密ちみつなスコアの読みと、正確なリズムやテンポ感が大切です」と語る。変拍子や細かいリズムの的確な処理、各楽器から色彩感を引き出す音響バランスはこの人の独壇場で、今年11月に全曲日本初演を果たしたメシアンの歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」の第2幕終結部における、多種多様な鳥の鳴き声を描写した場面は圧巻だった。

     「楽員みんなが常に準備万全で、技術的な問題が全くないからこそ、リハーサルで音色やフレージングといった音楽性を深めることに集中できる」とカンブルラン。「私が伝えようとすることをよく理解してくれる。タクトにも敏感に反応するようになって、演奏が軽やかになったと思います」と手応えを語った。

    音楽と社会の関わり問い続けた

     2011年の東日本大震災を受けて、多くの海外アーティストが公演をキャンセルする中で来日したことは、楽員から全幅の信頼を得るきっかけになった。翌年には被爆地・広島、長崎市で、市民らでつくる合唱団とモーツァルト「レクイエム」を演奏するなど、音楽が社会とどうかかわるべきかについても問いかけてきた。

     「広島、長崎の悲劇。そして福島の原発事故を通じて、核の問題が、日本人の奥底に常に深くとどまっている特別な問題であることに気づかされました」

     来シーズンのプログラムはラモーからハースまで250年を超える音楽史を網羅したものだが、「同時にオケと私の関係性がよく表れている」と強調する。

     「『幻想交響曲』や『海』のように再演して任期を振り返るもの。『グレの歌』のように、一緒に年齢を重ねたオケだからこそできる難曲。チャイコフスキーのように私よりもオケの方がわかっている作品もある。この9年間でレパートリーの幅がさらに広がったことを理解していただけると思う」

     9月の定期は現代がどういう時代かを問うカンブルランらしいプログラム。ラヴェル「ラ・ヴァルス」は、華やかなワルツのなかに第1次世界大戦の影がのぞく作品。ペンデレツキ「広島の犠牲者にささげる哀歌」で被爆地と再び向かい合う。そしてオーストリアの現代作曲家ハースの「静物」は、さらなる将来の危機を予見するような作品だという。

     このコンサート全体のテーマを「楽しい時代の終わり」と位置づけるカンブルランだが、音楽の可能性については力を込めた。

     「広島、長崎の公演を通して、音楽には人を日常から切り離して瞑想めいそうさせ、穏やかな気持ちにさせる役割があるのだと、私自身気づかされました。私はあらゆる音楽を愛していますし、音楽の力を信じています」

    年間会員券 12月9日発売
     読売日本交響楽団 2018~19シーズンの年間会員券(「定期」「名曲」「土曜」「日曜」「みなとみらい」)を12月9日(土)に発売する。25歳以下の「学生会員券」も設けている。
     会員券の申し込み方法は以下の通り。
    ▼電話で
     読響チケットセンター 0570・00・4390(午前10時~午後6時・年中無休/年末年始を除く)オペレーターが要望を聞きながら席を案内する。
    ▼インターネットから
     読響チケットWEB  http://yomikyo.pia.jp からも申し込み可能。
    ※パルテノン名曲シリーズの3回セット券は、2018年1月14日(日)発売。読響アンサンブル・シリーズの年間会員券(4公演)は18年2月3日(土)発売。
    ★会員券は、1回券より割安で、特製CDプレゼントなど多数の特典あり。

    公演情報などは読売日本交響楽団へ

    2017年12月06日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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