「日本列島 いきものたちの物語」来春公開
生命の海 親子で撮る
日本初の動物ドキュメンタリー映画「日本列島 いきものたちの物語」が来春公開される。
岩合光昭ら日本を代表するカメラマンたち約30人が結集。家族愛をテーマに2年半にわたり、各地で動物たちに密着する壮大なプロジェクトだ。沖縄・西表島では、水中写真の第一人者・中村征夫のチームが、サンゴ礁の撮影に取り組んだ。
港からボートで海に出た撮影チームは、持ち込んだカメラに「虫の目」と呼ばれるレンズを取り付けた。中村は、「水中で使われるのは初めてじゃないか。1センチまで近寄って、魚の表情の面白さや、魚の目で見た世界を撮ることが出来る」と話す。さらに、高速度撮影が可能なデジタルカメラも使う。「スローモーションで、魚の筋肉の動きを捉えるんです」
動物の「親子愛」がテーマのこの作品で、中村は長男の卓哉と約2年ぶりに組んだ。水中撮影は言葉が使えない。ひたすら1か所にとどまってチャンスを待ち、一瞬の判断で撮影する。場合によっては、ワンカットに10日以上を要するほどだ。「卓哉なら安心」と中村が言えば、息子は「何を求めているか、目の表情で分かる」と言う。
かつては、息子は父を「中村さん」と呼び、父は息子を「中村」と呼ぶほど、厳しい師弟関係だった。今、中村は66歳、卓哉も独立して36歳になり、最高のタッグチームとなった。中村は言う。「震災で、海が怖くなった人もいるでしょう。でも、海のせいではないし、海の生き物たちは、けなげに頑張っているんです。今だからこそ、日本の海の多様な美しさを伝えたい」
中村親子のように、各地でその動物を知り尽くしたカメラマンたちが、自らのライフワークの集大成として撮影を続けてきた。北海道・知床のヒグマの兄弟のひとり立ち、下北半島のニホンザル親子の愛情物語、六甲山のイノシシの子供、ウリボウ兄弟の冒険――。NHKエンタープライズで「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」などを手がける出田恵三監督は、「これほどのカメラマンたちが集結することは、もうないでしょう」と話す。「ドキュメンタリーですが、人間に勇気を与えてくれる、本物のドラマになるはずです」
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