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「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 (米)

不思議な世界 ワクワク

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ライラ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、よろいを着た巨大なシロクマたちの国に足を踏み入れた

 「ロード・オブ・ザ・リング」や「ナルニア国物語」に代表されるファンタジー大作も、そろそろ終わりだろうと思っていたら、そんなことはなかった。最近のCGには食傷気味だったが、この作品では、特殊効果がまさに効果的。よろいを着た巨大なシロクマが地を駆け、魔女たちが空を飛ぶ、不思議な世界にワクワクさせられた。

 舞台は英国オックスフォードだが、私たちの現実とは少し違う。優雅な飛行船が宙に浮かぶなど、手作り感のあるレトロな雰囲気が漂うパラレル・ワールドだ。そこはまるで、宮崎駿作品や大友克洋監督「スチームボーイ」などのアニメ映画の世界が現出したかのよう。人々は自分の魂の分身で、動物の姿をした「ダイモン」と呼ばれる存在を従えている。

 主人公の12歳の少女ライラを演じるのは、1万5000人の候補から選ばれたという新人、ダコタ・ブルー・リチャーズ。純真でかわいらしく、だけど内に秘めた芯の強さが瞳の奥からにじみ出ている。美しくも非情なコールター夫人役のニコール・キッドマン、ライラのおじと言われる冒険家アスリエル卿を演じるダニエル・クレイグを相手にしても、実に堂々とした演技ぶりだ。

 子供を狙う誘拐事件が相次ぎ、親友をさらわれてしまったライラは、真実を告げるという不思議な機械「黄金の羅針盤」を託され、勇敢な放浪の民ジプシャンたちと共に子供たちが連れ去られた北の国へ向かう。

 英国BBCの読者ランキングで、「ハリー・ポッター」を抜いたという、フィリップ・プルマンの児童文学「ライラの冒険」シリーズが原作である。アスリエル卿の飲み物に毒を入れる人物や、よろいを着たシロクマのイオレク(声はイアン・マッケラン)と出会う切っ掛けなど、原作と多少異なる部分もあるが、人間関係の複雑さが整理された。イメージを大切にしつつ、非常に分かりやすくなったと言えよう。

 監督のクリス・ワイツは1969年生まれの新鋭。「アバウト・ア・ボーイ」などの作品はあるが、無名に近い存在。それがこの250億円もの製作費をかけた超大作を見事に映像化した。映画版も、原作同様3部作で、ライラが子供たちを解放し、次の冒険へと向かうところで第1部は終了。さらにダイナミックな展開を思わせ、今から次回作が楽しみだ。1時間52分。有楽町・丸の内ピカデリー1など。(福永聖二)

2008年2月29日  読売新聞)
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