現在位置は
です

映画

映画評

本文です

「つぐない」 (英)

贖罪か自己満足か

 小説家志望の多感で想像力たくましい少女の言動が、ある若いカップルの人生を狂わせてしまった。果たしてその罪はあがない得るのか。イアン・マキューアンの傑作小説「贖罪(しょくざい)」が原作のこの映画は、人間、とりわけ物語をつくる者の業を描き出す。

 始まりは1935年の夏。イングランドの広大な屋敷に暮らす旧家の娘・セシーリア(キーラ・ナイトレイ=写真左)と、使用人の息子・ロビー(ジェームズ・マカヴォイ=同右)が、身分差を超えた愛を確かめ合った日、悲劇が起こる。セシーリアの妹・ブライオニー(シアーシャ・ローナン)が屈折した感情ゆえ、ロビーに無実の罪を着せてしまうのだ。ロビーは刑務所を経て第2次世界大戦の最前線へ送られ、セシーリアは裕福な生活を捨てて彼を待つ。やがて、ブライオニーはみずからの罪の重さに気付くのだが――。

 悲恋をめぐる大河ドラマとしても楽しめるが、やはり見どころは贖罪の成否。

 歳月を経て、77歳になったブライオニー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)が選んだ手段は、真のあがないか、自己満足か。ジョー・ライト監督は、壮観な映像表現を重ねた果てに、物語る女の青い瞳の奥に潜む謎を突きつける。人間という存在の奥深さをくっきりと描く、見応えたっぷりの1本だ。2時間3分。新宿・テアトルタイムズスクエアなど。(恩田泰子)

2008年4月11日  読売新聞)
上映中の映画、映画館を調べたい方は上のボタンから Powered by Movie Walker
現在位置は
です