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第4回「ダークラクーの正体は?」 大道芸人トーマス・メンソンさんに聞く



トーマス・メンソン
フランス生まれ。1995年からスティルト(足長芸)のプロとして活動開始。スティルトフェスティバル「Togo」の主催者も務めている。
 東京・木場の都現代美術館で開催中の「ハウルの動く城 大サーカス展」で、一際注目を集めている謎の怪物「ダークラクー」。全長2mの体で自在に動き回りながら来場者を驚かせている。演じている大道芸人のトーマス・メンソンさんに聞いた。(依田謙一)

――ダークラクーはどんなキャラクター?

メンソン 金色の身体、4本の足、恐ろしい顔を持つ公害の海から生まれた怪物。豊かな自然の回復を人々に訴えているんだ。

――ダークラクーに出会うと、観客はどう反応しますか。

メンソン 怖がって逃げ出す人もいれば、興味を持って近付いてくる人もいる。未知なものに遭遇した時、人がどうリアクションをするかがよく分かるよ。ただ、ダークラクーというキャラクターは、心を開いてもらえば優しく接するかというと、必ずしもそうではない。現実の世界と一緒で、初めて会う人や現象に、自ら心を開いたからといって、受け入れられる場合ばかりじゃない。だから、せっかく興味を持ってくれた観客を傷つけてしまうこともある。このパフォーマンスは、社会学的かつ心理学的な試みでもあるんだ。

――日本の観客の印象は。

メンソン 日本に来るのは2度目だけど、第一印象は「表面的」だと感じることが多いかな。だけど、その奥には一見すると見えない深い思いがあることも伝わってくる。そういう人たちとパフォーマンスを通じてコミュニケーションできることはとても嬉しいね。

――大道芸人になったきっかけは。

メンソン 6歳の時、両親が竹馬をプレゼントしてくれた。面白くて、次第に長い竹馬に乗るようになっていった。その後、フェスティバルに参加しながら、17歳で竹馬のプロになろうと決めたんだ。両親も驚いていたよ。「まさかあの竹馬がこの子の人生を変えるとは」って。以来、コンテンポラリーダンスのカンパニーなどで修行しながら、今のパフォーマンスを確立していったんだ。

――コンテンポラリーダンスと大道芸の違いは。

メンソン 観客があらかじめ待っているか、待っていないかだね。大道芸は、まず、注意をひいて観客を集めるところからやらなきゃいけないから大変だよ。

――これまで宮崎駿監督の作品を観たことは。

メンソン 「もののけ姫」を日本語で観て、いっぺんにはまった。言葉は分からなかったけど、人間の業を描いた偉大な芸術だと直感した。フランスでも宮崎作品は人気があるよ。

――映画「ハウルの動く城」の主人公ソフィーは、魔法によって外見を90歳の老女の姿に変えられたことで、かえって活発な性格になります。同じように、ダークラクーで外見を変容させることは、あなたの内面に影響を与えますか。

メンソン 面白い指摘だね。僕の場合、マスクを付けることで、より自由だと感じることができる。仮面を通して「個」が消え、新しい何かが始まる。不思議な体験さ。

――それにしても、こんなハンサムな人が中に入っているとは思いませんでした。

メンソン 本当に? 嬉しいね。ダークラクーと違い、普段の僕は、ほめられればちゃんと喜ぶ男なんだ(笑)。


「ハウルの動く城 大サーカス展」

 「ハウル」の登場人物をサーカス一座に見立てた展覧会。8月31日まで東京都現代美術館で開催中。入場は予約制だが、定員に満たない場合は当日券も発売している。詳細は「ローソンチケット」TEL0570−000−403へ。詳しくはこちら


2005年8月2日  読売新聞)
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