歌手生活40年の加藤登紀子さん、亡夫との絆を本に
歌手生活40周年記念して加藤登紀子さんが夫の元全学連委員長・藤本敏夫さん(2002年7月、58歳で死去)との獄中往復書簡などを収録した著書『絆(きずな)』(B6変型判、520ページ、2625円)を出版、読売新聞中部支社に来社して思いを語った。 加藤さんは1943年、中国ハルピン生まれ。東京大学在学中の65年、第2回日本アマチュアシャンソンコンクールで優勝し、歌手デビュー。「赤い風船」「ひとり寝の子守唄(うた)」「知床旅情」などのヒット曲を生んだ。72年5月、獄中の藤本さんと電撃結婚した。現在は女優、声優、野菜作り、環境問題などの社会活動にも取り組む。3女の母。 『絆』は主に、藤本さんの遺稿である半生記「歴史は未来からやってくる」と、藤本さん入獄中の72年5月〜74年9月間に交わされた2人の全往復書簡141通で構成されている。 例えば、「書簡70敏夫→登紀子」(73年5月3日)には、「驚くなかれ僕は小説を書こうと思っているのです。題はサガン女史にならって『マルクスなんて知らないよ』とでもしようと思っています」と書いている。 加藤さんは「(『絆』は)私事のようだけど、語っていることは時代の証言になっているし、今の若い人たちの苦悩と共鳴するところもあると思う。日本はお金持ちになったけど、今ほど貧乏を恐れる気持ちが強い時代はない。心貧しくなってしまい、責任の一端を感じる。(壁の『ハウルの動く城』のポスターを指さしながら)若い心のまま90歳のおばあさんになった主人公みたいに、今年がデビュー40年、もう一度若人らと歩みを一つにして、(社会変革に)チャレンジしたい」と語った。 『絆』の問い合わせは藤原書店(03−5272−0301)。 (2005年5月31日 読売新聞)
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