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連載「雪の女王」インタビュー バイオリン奏者・宮本笑里さんに聞く

宮本 笑里(みやもと えみり)さん


宮本 笑里(みやもと えみり)

バイオリン奏者。14歳の時にドイツ学生音楽コンクールデュッセルドルフで第1位入賞。ドラマ「のだめカンタービレ」にも出演。元世界的オーボエ奏者・宮本文昭を父に持つ。


 1957年にロシア(ソ連)で作られたアニメーション映画「雪の女王」の《新訳版》が、12月15日から東京・渋谷のシネマ・アンジェリカなどで公開される。宮崎駿監督が描き続けているヒロイン像の原点とも言われるこの映画を、宮崎作品のヒロインに憧れている方に見てもらうインタビュー連載、第3回はバイオリン奏者・宮本笑里さんに聞いた。(依田謙一)

――アンデルセンの原作を読んだことは?

宮本 「人魚姫」や「パンをふんだ娘」は読んだことがありましたが、「雪の女王」はこの映画を通じて初めて知りました。とても50年前の作品とは思えないくらい、滑らかに動きが表現されていて驚きました。まるでバレエを踊っているようでした。

――宮崎監督も「バレエの素養のある子の動きからライブアクション(実写を撮影してアニメーション化)を採用したのではないか」と指摘したそうです。

宮本 指先まで細かく描写されていて、繊細な仕草が作品の雰囲気と合っていますよね。ドロップを口に含んだまま話しているような、優しいロシア語の響きも素敵。冷たい世界が描かれているはずなのに、言葉の響きとバレエのような動きのおかげで、フワフワした浮遊感を感じながら見ることができました。

――音楽(アイヴァジャン)の印象は?

宮本 絵の雰囲気とぴったり。疾走する主人公・ゲルダの気持ちが、素直に伝わってきました。一度聴いたら忘れられないフレーズで、頭の中をぐるぐる回っています(笑)。ロシアの作曲家では、プロコフィエフが好きですが、線が細いのに意思をはっきり感じ取れるという点では、通じる部分があるように感じました。

――印象的だったキャラクターは?

宮本 やっぱりゲルダ。気持ちがとても強くて、皆が自然に彼女の味方になっていく様子が忘れられない。現実はもっと厳しいという意見もあるかもしれませんが、心の底から「こうしたいんだ」という意思を感じたら、誰もが力になってあげたいと思うのではないでしょうか。私も、決して一人で立っているわけではなく、いろんな人の支えがあって、今がある。これからも階段を上っていくためには、もっと頑張っていることを周りに知ってもらわないといけないと感じました。

――宮本さんが周囲の支えを実感するのはどんな時?

宮本 自分に対して意見を言ってもらえた時ですね。一人で突っ走っている時の方が不安なんですよ。私が演奏家としてやっていこうと決意したのは中学生の時ですが、演奏を気にしてくださる人がいると分かったことで、自分よりも周りの人のために弾きたいと思えました。

――ゲルダが走り続けるのは、カイへの「想い」のためですが、宮本さんが演奏する際に、貫きたいと考えている「想い」は?

宮本 聴いた瞬間に、私の音だと感じてもらえる演奏をしたいということ。上手だとか下手だとか、そういうところを飛び越えて、自分らしい音をもっと追求していきたい。そのためには、楽しく弾いていたいです。演奏していると、どうしても「難所」と向かい合わなければなりませんが、できるだけ笑顔を忘れたくない。それが、自分が追求している音に繋がると信じています。

――ゲルダは宮崎監督が描き続けているヒロイン像の原点だと言われていますが、宮本さんが憧れる宮崎作品のヒロインは?

宮本 自分とは対照的ですが、「もののけ姫」のサンが好きですね。野性的で乱暴なんだけど、純粋な部分が根っこにある。私は演奏をする際、映像をイメージすることが多いのですが、燃えるような激しい曲を演奏する時は、よくサンの姿を思い浮かべます。久石さんが手がけている宮崎監督の作品の曲は、どれも大好きです。いつか演奏できたら嬉しいですね。




アルバム「smile」
 7月に発売されたデビューアルバム。クラシックの小品からオーケストラをバックにした壮大な書き下ろし曲まで幅広く演奏。父親で元オーボエ奏者の宮本文昭との共演曲も2曲収録。アルバム名を掲げたツアーを、2月7日にフェニックスホール(大阪)、2月8日に宗次ホール(愛知)、2月14日にトッパンホール(東京)で行う。公式サイトはこちら


「雪の女王」《新訳版》(レフ・アタマーノフ監督)
 今から50年前にロシア(ソ連)で制作された。「三鷹の森ジブリ美術館」の配給で、12月15日から東京・渋谷のシネマ・アンジェリカ、立川のシネマシティで公開される。翻訳は児島宏子さん。公式サイトはこちら (C)2004 Films By Jove Inc. in association with Soyuzmultfilms studio


2007年11月27日  読売新聞)
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