連載「雪の女王」インタビュー 広末涼子さんに聞く広末 涼子(ひろすえ りょうこ)さん
――映画はご存知でしたか? 広末 実は以前に一度、拝見したことがあるんです。友人にたまたま古い映像を持っている人がいて、冒頭、ベランダでカイとゲルダが遊んでいるシーンを見て「かわいい!」と思ったのを覚えています。当時はタイトルを知りませんでしたが、今回、試写を見せていただいて「これだったんだ」って嬉しくなりました。 ――ゲルダの印象は? 広末 彼女の一途な姿は、大人になって忘れがちになっていた気持ちを思い出させてくれます。透き通るような信じる心って、やっぱり強いんだって。何かを成し遂げようという時は、中途半端じゃダメなんですよね。日常も同じだと思うんです。きちんと誠意をもって気持ちを伝えたら、相手に届くはずだし、そう信じて過ごしたい。でも、童話って怖い要素もあるから、周囲の人や動物がちゃんと味方になってくれるかどうか心配で、「お願い、助けてあげて!」って応援しながら見ていました(笑)。 ――雪の女王については? 広末 決して特別な存在ではなく、心を閉ざすことによって、あのようになってしまう可能性は誰にでもあるかもしれないと思いました。直接触れ合うのではなく、遠くから操作しようとしたりする姿は、現代の人間の弱い心を映し出している鏡のようにも見えました。でも、そういう心って、意志の強い人の前では何もできない。雪の女王も、ゲルダを前にした瞬間、戦うこともなく去ってしまいましたよね。 ――ゲルダの覚悟が伝わったのでしょうね。 広末 カイのことを思えば、そういう意思を持つのは自然だったのでしょう。彼女を見ながら、憧れていた海外の映画に初めて出演させていただくことになった時のことを思い出しました。身を投げ出して挑戦するということを体感して、「自分しか信じるものはないけど、自分なんか信じなくてもいい」と思えるようになったら、いっぺんに視野が開けて、迷いも消えたんです。大切なもののためだと思うと、不思議と恐れもなくなったという意味で、ゲルダのようだったかもしれませんね。 ――ゲルダは、宮崎監督が描き続けているヒロイン像の原点だと言われています。 広末 自分にとって映画の原体験と呼べるのは、ジブリ作品です。小さい頃、映画といえば「大人が見るもの」というイメージだったのが、宮崎監督の作品に出会って、この世界が大好きだという想いを持って以来、ずっと好き。特に「となりのトトロ」のサツキは、自分がショートヘアで元気な妹がいたせいもあって、とても近くに感じていました。あとは、「魔女の宅急便」のキキも大好き。私も田舎(高知)から都会に出てきて仕事をしながら暮らしていたので、共感していましたね。でも、私は仕事とその移動で一日が終わってしまうこともあったので、近所の人との触れ合いがあったり、大きな空を飛び回れる分、キキがうらやましかったです(笑)。 ――いつか宮崎作品に参加してみたいと考えたことは? 広末 えー! 同じ映画でも、子供の頃から知っている世界だから、逆に遠くに感じてしまって想像したこともないです(笑)。そんなチャンスがあったら夢みたいですね。宮崎監督が描き続けているヒロインって、人にこびてなくて、でも人が好きで、芯が強くて、いつも自然体。そういうところにすごく憧れます。まさにゲルダですよね。
(2007年12月12日 読売新聞)
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