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ジブリをいっぱい

素敵な出会いをくれた映画 倍賞千恵子さんに聞く

倍賞千恵子(ばいしょう ちえこ)さん


倍賞千恵子(ばいしょう ちえこ)

1941年、東京生まれ。松竹音楽舞踊学校卒業後、松竹歌劇団(SKD)入団。61年映画「斑女」でデビュー。62年「下町の太陽」でレコード大賞新人賞を受賞。代表作に映画「男はつらいよ」など

 20日公開の宮崎駿監督の新作「ハウルの動く城」は、魔女ののろいで90歳の老人の姿にされた18歳の少女ソフィーが、魔法使いの青年ハウルと「動く城」で共同生活を送るというラブストーリー。

 ソフィーの声を演じ、自ら主題歌「世界の約束」を歌った倍賞千恵子に聞いた。(依田謙一)

――映画は観ましたか。

倍賞 はい。自分が出ていることをすっかり忘れるほど夢中になりました。一人の観客として、興奮して、ワクワクして、最後は泣いてしまった。普段は出演作をすぐに観ることはしないんです。いつも「もっとこうしたかった」という後悔ばかりで。今度も初めは観るのが嫌でした。でも、最初の場面で霧の中から城が出てきた瞬間、気がつけばワーッて手を叩いていました。

――観終わった後は。

倍賞 監督と熱い握手を交わしました。舞台挨拶に出席しないと聞いて、思わず「どうしてですか」って問い詰めたら、「ひげを剃ってしまったので」ってごまかされちゃいました(笑)。

――最初に依頼が来た時は。

倍賞 嬉しかったです。宮崎さんの映画には、決して大上段のメッセージではないけれど、強い思いが宿っている。そういう作品に参加できるんだって。「男はつらいよ」のスタジオで吉岡秀隆君に「すごくいいから」と教えてもらった「天空の城ラピュタ」(1986年)以来、ジブリ作品はずっと観ていました。

――ソフィーと倍賞さん自身で通じる部分はありますか。


久石譲さんの音楽も魅力的でした。「私の心をどこかに連れていかないで」と思ったくらい
倍賞 ちゃめっ気があり、いたずら好きなところは似ていますね。それに、徹底的な掃除の仕方。怒り方も。よく「こんちくしょー」って怒鳴りますから。でも、ソフィーの顔にはずいぶん宮崎さんが入っていると思う。監督に「違いますか」と聞いたら、「そんなことありません」と笑っていましたけど。

――18歳から90歳までを演じ分けるのは大変だったのでは。

倍賞 最初、3種類ぐらいの声を準備して、監督に聞いてもらったんです。自分なりに研究し、すごく「作った」声にしようとしたら、「もっと自然に」と言われました。監督には明確な意図があったと思います。つまり、内面がしっかり表現できていれば、あとは自然でいい。90歳になっても、いつも何かにドキドキして、感動する心を忘れてはだめ。監督はそのことを言いたかったのではないでしょうか。

――18歳と90歳の「間」の年齢も登場しますが。

倍賞 作り込んだ声の方が、年齢ごとの変化を出しやすいと思っていましたが、監督は「そのままでいい」と。これは一貫していましたね。だから、90歳でもしわがれ声でなく、自然な声を要求したのでしょう。

――一番難しかったのは。

倍賞 「ハウル、大好き」というせりふ。最初はただ、かわいらしく言っちゃおうと――。浅はかだったのね。終幕に登場するこのせりふは、言葉を発するまでのいろんな思いを込めなくてはならない。どうしてもうまく言えず、何度も録り直しました。(次ページへ続く)


2004年11月16日  読売新聞)
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