「ピクサー展」の秘密 リッキー・ニールヴァさんらに聞くリッキー・ニールヴァさん
ミッシェル・スペインさん 宮崎 吾朗(みやざき ごろう)さん
日米アニメーションスタジオの雄による“競演”が実現した経緯を、同社のアート・ディレクターで展覧会のために絵を描き下ろしたリッキー・ニールヴァさん、展覧会をコーディネートしたマーケティング部門のミッシェル・スペインさん、ジブリ美術館の宮崎吾朗館長に聞いた。(依田謙一) ――ジブリとピクサーの縁は。 スペイン 宮崎駿監督と、「トイ・ストーリー」の監督を務めたピクサーのジョン・ラセター(現・エグゼクティブ・バイス・プレジデント)には、20年来の親交があります。ラセターをはじめ、ピクサーの仲間はジブリ作品をとても尊敬していて、多大な影響を受けています。悩んだり行き詰ったりすると、皆で観るんですよ。 宮崎 ラセター氏の尽力で「千と千尋の神隠し」(英題「Sprited Away」)が米国公開された際、宮崎監督がピクサーに招かれました。そこで監督が、「是非、展覧会をやらせてほしい」の申し出たのがきっかけです。後先考えずにそういうこと言っちゃうんですね、あの人は(笑)。 ――あえて「手仕事」に注目した理由は。
ニールヴァ 準備段階では、アイデアを紙に描き、粘土模型を作るといった手仕事がとても大切なんだ。僕らは、これらの資料をもとに、何度も議論を重ねる。ラセターも言っているけど、優れた長編アニメーションを作るには、3つの大切なことがある。魅力的で心を動かす物語、忘れがたい登場人物、観客を信じさせる世界観。それぞれを十分に検討しなければならない。コンピューターは道具の一つに過ぎないんだ。 スペイン 最初にこの提案を聞いた時は驚きました。今まで、作品が完成した記念に社内で資料を展示したことはありましたが、一般向けに公開したことはありませんでしたから。でも、その驚きはすぐに楽しみに変わりました。
スペイン 展覧会のために、こちらからも提案しました。例えば「ラブ・ラウンジ」と呼ばれる小部屋を再現して欲しいということ。スタッフがスタジオ内の空調用スペースに作った秘密の部屋で、宮崎監督も案内されサインを残している場所です。こうした遊び心も、ピクサーの大切な「創作の秘密」なんです。ほかにも、スタジオ内のバーも再現されていて、私たちが普段どういう環境で仕事をしているか知ってもらえると思います。 宮崎 展示物の「量」も大切にしました。一つのキャラクターが決まるまでに、どれだけ苦労があるのかを知ることで、ピクサーの仕事に対する熱心さを感じもらえればと。 ――宮崎監督とラセター氏は、展覧会をご覧になりましたか。 宮崎 宮崎監督は秋に公開の「ハウルの動く城」、ラセター氏は冬に公開の「Mr.インクレディブル」の制作が佳境を迎えていて、まだ訪れていません。でも、誰よりこの企画を楽しみにしていた2人ですから、映画が一段落したらすぐに飛んで来ると思いますよ。(次ページへ続く)
(2004年6月29日 読売新聞)
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