「ナウシカ」はこうして生まれた 鈴木プロデューサーに聞く鈴木 敏夫(すずき としお)さん
スタジオジブリ作品をDVD化してきた「ジブリがいっぱい」シリーズでは、「ナウシカ」だけが登場していなかった。ここまで引っ張ったのには何か理由があるに違いないと踏んだ記者は、「真相を確かめるにはやっぱりこの人しかいない」と、鈴木敏夫プロデューサーを訪ねた。しかし、返ってきた答えは……。(依田謙一) ――「ナウシカ」のDVD化が、旧作で最後になった理由は。 鈴木 考えすぎですって(笑)。そのうち発売しようと思っていたのが、伸びてしまっていただけです。発売元からは、そろそろ今年の夏に出しませんかと言われたんですが、「まぁそんなに焦りなさんな」って、この時期にしたんです。 ――考えすぎでした(笑)。DVD化にあたって「ナウシカ」を観直しましたか。 鈴木 自分が携わった作品は、出来上がってしまうとほとんど観ません。今回、久しぶりに「ナウシカ」を観ましたけど、まだまだ楽しめませんでしたね。「あぁ、この場面はあいつが大変だったなぁ」などと思い出してしまって。しっかり観直すのは、老後の楽しみにとっておきます。 ――当時のことを覚えていますか。 鈴木 20年といっても、つい最近のことのようです。当時、僕は「月刊アニメージュ」で編集者をやっていて、会社から「映画の企画を出せ」と言われていました。ちょうどその頃、宮(崎駿)さんが、テレコム・アニメーションフィルムをやめたばかりだったので、彼に声を掛けて映画の企画を考えたんです。それが「ナウシカ」だった。僕たちは「これはいいぞ」と勇んだのですが、こっぴどく怒られましてね。「君たちは何も分かっていない。原作もない作品を映画化できるか」と。 ――お蔵入りですか。
――そして、「ナウシカ」の連載が始まる。 鈴木 連載前、宮さんに3種類の絵を見せられました。1枚目は線が多いタッチの絵。2枚目は線が少ないスカスカの絵。3枚目はその中間。宮さんは、それを並べて「さぁ、どの絵がいいですか」と聞いてきました。返答に困っていたら、「1枚目は、気に入ってますが、時間がかかります。“今月は4ページ”という回も出てくるでしょう。2枚目は、××××(ある漫画家の名前)タイプ。これだと量産できます」って。僕は「もう、分かりました。4ページの回があってもいいですから、1枚目でお願いします」と答えました。実際に連載が始まったら、2ページの回もありましたが(笑)。(次ページへ続く)
(2003年11月25日 読売新聞)
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