アッコちゃんの「ホントのきもち」 矢野顕子さんに聞く矢野顕子(やの あきこ)さん
普段は米ニューヨーク在住のため、プロモーションで「来日」した彼女に、アルバムの話を聞くとともに、「となりの山田くん」を振り返ってもらった。(依田謙一) ――2年半ぶりのオリジナル・アルバムですね。 矢野 事務所やレコード会社が変わるなど、自分の周りでいろいろありましたから、そんななかよくやったなと。 ――10曲中5曲はくるりの岸田繁さんとの合作ですが。 矢野 彼らのCDを聴いていっぺんにファンになり、いつか一緒に作品を作ることができればと考えていました。そうしたら、2002年の暮れにたまたま彼らが主催する音楽イベント「百鬼夜行」にゲストでお招き頂く機会があったので、私から「一緒にやろうよ」と持ちかけたんです。 ――岸田さんの反応は。 矢野 嫌とは言えなかったんでしょうね(笑)。でも、快く引き受けていただいて。 ――曲作りはどのように進んだのですか。 矢野 岸田さんがギターを持ってニューヨークまで来て下さって、2人でああでもないこうでもないと話しながら作りました。作曲が先行したものが多いですね。作詞については連歌のような感じで、時に褒め合い、時にけなし合いながら言葉を重ねました。 ――岸田さんにとっては相当なプレッシャーだったのでは。
――レイ・ハラカミさんとの組み合わせも意外でした。 矢野 彼との出会いも、くるりが触媒となっています。彼らの「ばらの花」という曲をハラカミさんがリミックスしたものを聴いた時に、「あぁこの人は天才だ」と思いまして。それで、去年ツアーをやった時にアレンジをお願いしたらとてもうまくいったので、参加していただきました。 ――共同作業で感じたことは。 矢野 お互いが持っているものを差し出し合うということには犠牲も伴いますから、一緒に作るのは勇気が要ります。特に私は、自分一人で最後までやろうと思えば実現できるという自負もあるし、必ずしも誰かと作る必要はないと考えている部分もある。それが彼らと一緒になったことで、一人の時とは違う自分を再発掘できたのは良かったですね。 ――ニューヨーク在住でありながらどうやって日本の音楽情報を手に入れているのですか。 矢野 特別なことはしていなくて、周りの人の推薦とか、日本に来た時にレコード屋さんで「ジャケット買い」する程度です。ですから、皆さんと同じように「失敗したなぁ」という思いもしていますよ。 ――タイトルを「ホントのきもち」としたのは。
――歌の内容そのものが矢野さんの「ホントのきもち」であると。 矢野 今の自分について、できるだけ具体的かつ分かりやすく歌ったつもりです。それは、明日になれば急に変わってしまうようなものではなく、ずっと私のなかにあったものです。もちろん、こういう時代にニューヨークという場所で暮らしている中で感じたことも、表現されていると思います。あえて細かく説明しませんが。(次ページへ続く) (2004年9月28日 読売新聞)
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