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【サツキとメイの家・建築中】第39話「井戸ポンプ最終調整」


 
 手こぎの井戸ポンプの最終調整をするため、「サツキとメイの家」の台所に、大人たちが詰めかけていた。井戸ポンプ会社「東邦工業」社長の溝口喜公さん(52)が、バケツや工具箱を抱えて現れた。

 ポンプは表面がさび、古びた感じに見えるが、同社が納めた新品だ。計画を統括する宮崎吾朗さん(38)らが見守る中、溝口さんがハンドルを動かしてみた。

 〈ガチャン、ガチャン〉

 「少し重いな」。いったん中のピストンを外し、社員の後藤卓也さん(57)に手渡した。

 木製のピストンの外周には、豚皮が巻かれている。「皮が水を含んで膨張しすぎ、中で動きにくくなっているんですよ」と後藤さん。鉄のハンマーで外周をまんべんなくたたいて皮を引き締めた。これを二度繰り返すと、ハンドルが軽快に動くようになった。

 映画「となりのトトロ」では、姉妹が川でくんだ水をポンプに入れてから、ハンドルを動かすシーンがある。「呼び水」と呼ばれ、水を吸い上げるパイプの空気を抜く作業だ。

 後藤さんもペットボトルの水をポンプに注ぎ込んだ。何度かハンドルを動かすと、地下の貯水槽からくみ上げられた水が勢いよく出始めた。

 「出た、出た!」大人たちが思わず歓声を上げる。

 〈ガチャン〉という音に耳をすましていた設計担当の建築士山田達也さん(41)が、「いい音ですねえ。安心しました」と表情を緩めた。

 吾朗さんが館長を務める東京の「三鷹の森ジブリ美術館」にも、中庭に井戸がある。古風な手こぎのポンプが据え付けられ、子どもたちに大人気だ。「たいていの子どもは水遊びが好き。ガチャガチャ動かしたら水が出る。それだけで面白くてたまらないんだろうね」と、吾朗さんは話す。

 勝手口の外の井戸ポンプも、順調に水が出るようになった。「子どもでも、ちゃんとハンドルを動かせるように調整しましたよ」。溝口さんの言葉に、スタッフたちが笑顔でうなずいた。

 家の前には、庭木や草花が丁寧に植えられ、庭の整備が進む。


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2005年2月22日  読売新聞)
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