吉川晃司が新作「TARZAN」にじむ反骨 奔放ロック吉川晃司が、3年8か月ぶりとなる新作「TARZAN」(徳間)を出した。踊れるロックを目指したというだけあって、ノリの良いビートが全編を貫く。しかし、楽しさばかりではなく、若いころから変わらない反骨精神が、随所ににじみ出ている。(桜井学) 2004年にデビュー20周年を迎えた後も、ベストアルバムやDVDの発売、出演映画の公開などが相次いだ。 「職業年齢として20歳を過ぎたってこと。歌うということについて、やっとスペシャリストの足もとぐらいにいけたかな」 新作の題名は、大自然の中を奔放に駆け巡る、密林の王者・ターザンから取った。「世の中が進んでいる中で危惧(きぐ)することがたくさんある。過剰にモノがあふれているけど、本当に欲しいものは手に入らない。生活格差が広がって、若い連中は夢を持てない。ターザンってのは、そういう風潮に対するアンチテーゼ。自由で、動物たちとも深い絆(きずな)で結ばれている」 表題曲の歌詞でも「本当に美しいものなどその物差しじゃ計れやしないだろ」と金の亡者たちを挑発してみせる。 フランツ・フェルディナンドなど、「イギリスの若い連中」がここ数年やっているサウンドに刺激を受けたという。「1970年代後半から80年代にかけて、こういう“踊れるロック”っていう感じのものがはやった、それが装いを変えて登場し、新鮮に感じられる周期が来たんです」 コンピューターを駆使して作り上げたダンスミュージックではなく、生演奏のリズム感を重視した。これまで、音楽的に様々なジャンルに挑戦してきた。ポップスを歌った「アイドル」の時代、ロック・ギタリストの布袋寅泰と組んだユニット「COMPLEX」、ジャズやディスコの要素を取り入れたこともある。 「最近は、詞も曲もシンプルになって来ている。シンプルなものほど難しい。きっちり計算していないと、駄目な部分がバレやすいから。若いときは、どうしてもカッコつけちゃうけど、今はなるべく素でいられるようにしたい、と思っている」 テレビや映画への出演についても意欲的だ。 「とにかく刺激的な場所に自分を置くことは、芝居に限らず何でもやりたい。まして、年齢的にも体力的にも、保守的になりがちな時期なんで、自分を奮い立たせないと」 27日から全国ツアーを始める。東京公演は8月18日の両国国技館など。(電)03・5468・8180。 (2007年4月19日 読売新聞)
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