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新曲「紀ノ川」に続き、東京・明治座公演に臨む坂本冬美

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撮影・小西太郎

「二葉先生」と歌謡浪曲

 一昨年は芥川龍之介の小説を基にした「羅生門」、昨年は川端康成の名著を題材にした「雪国」を歌った。そして新曲「紀ノ川」は、有吉佐和子の代表作を下敷きにした。

 「これまで、威勢のいい歌のイメージが強かったが、それとは違う自分の新たな側面を切り開きたいと思って始めたのが、この文芸路線。『羅生門』を出した時から、3曲は続けるつもりでした。これが集大成です」

 出身地・和歌山にちなんだシングル曲を出したことがなかったので、「文芸路線の完結編は同郷の有吉さんの『紀ノ川』で」と願い制作された。一番は嫁いだ時の思い、2番は娘との確執への悩み、3番は老境の静かな心境。一人の女性の人生の諸断面での心情を、哀感あふれる旋律に乗せ、つややかに歌った。

 「独身の私にとって、背伸びしなくては表現できない世界観。私の母や祖母は、どんな思いで私を見守っていたのだろうかという部分に思いをはせ、歌を組み立てました。演じ過ぎないよう、柔らかで自然な歌唱を心がけました」

 11日には、東京・浜町の明治座で、自身の浪曲の師でもある二葉百合子をゲストに迎え公演する。

 「2002年の休業中、音楽への意欲を失いかけていた時に、テレビで二葉先生の歌を聴き、再び歌に取り組もうと思った。その後手紙で弟子入りを願い、それを受け入れてくれた。私にとって恩師であり母のような存在です」

 10分余の歌謡浪曲で共演するが、「胸を借りるつもりで、ぶつかります」と力を込めた。(電)03・3660・3900。

2008年4月4日  読売新聞)
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