世界初のレインマン舞台化1988年の米アカデミー賞で作品、主演男優など4部門で受賞した映画「レインマン」が、鈴木勝秀の脚色・演出で世界で初めて舞台化される。人生の危機に直面した男が、自閉症の兄と心のきずなを取り戻す物語。橋爪功、椎名桔平の共演で、2月3日から19日まで新大久保の東京グローブ座で上演される。祐成秀樹 橋爪功「やばい」×椎名桔平「難しい」事業の不振に悩むチャーリー(椎名)のもとに、仲たがいした父親の悲報が届く。遺産は、顔も知らない兄のレイモンド(橋爪)が相続することになっていた。チャーリーは兄が自閉症と知ると、遺産を手に入れるため、兄を施設から連れ出す。 映画ではチャーリーをトム・クルーズ、レイモンドをダスティン・ホフマンが演じ、ホフマンが主演男優賞を獲得した。 レイモンドは抜群の記憶力を持ち、サッカーW杯の詳細な記録や円周率をそらで語り上げる。橋爪は「脚本を読んだ時に『やばい』と思った。この年齢で数字を丸暗記するのは大変ですよ。それに相手の演技を受けてせりふを出せない。困りました」と打ち明ける。 しかし、脚本を読み込むうちに「楽になった」という。「作品の主題は兄弟愛や家族愛、若者の成長なんです。謎めいたレイモンドもだんだん好きになってきた。心に傷を抱えているようにも、すべてを知り尽くしているようにも見える」 一方、チャーリーは、ネット上での株取引で行き詰まり、婚約者との間もぎくしゃくしている。椎名は「彼は兄以上に孤独に生きてきた。父に虐待されたと思い込み、仕事でも人との接触を避けている。コミュニケーション不足の今の若者たちと重なりますよね」と語る。 椎名にとっては、昨年11月の唐十郎作「調教師」に続く舞台。長大なせりふが飛び交う“言葉の迷宮”から解放されて安心しているかと思ったら、「難しい」を連発する。「物語が分かりやすい分、観客を舞台に引き寄せる特殊な空間を作らないと飽きられる。2人のコミュニケーションを繊細に表現しなければ」 橋爪と椎名は初共演。橋爪が、所属する「演劇集団円」以外の舞台に立つのは珍しい。「劇団では若い人が増え、注意してくれる人がいないのがつらい。演出家や椎名さんから刺激を受けたい」 その椎名は「橋爪さんを感じながら演じたい。けいこの最初から、役の芯からぶれないのはすごい」と言う。役と同様に、実力派2人が探り合い、きずなを見いだせれば大きな感動を呼びそうだ。共演は朴■美、大森博史。(電)03・3234・9999。 (2006年1月16日 読売新聞)
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