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水野美紀と“不条理な笑い” 倉持裕 初のラブストーリー 「開放弦」

「直球でない所 好き」

 水野美紀らが出演する舞台「開放弦」が、14日から30日まで、東京・渋谷のパルコ劇場で上演される。不条理劇を思わせる作風で注目の若手作家、倉持裕(ゆたか)が初めて挑んだラブストーリーだ。(多葉田聡)

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「倉持さんの脚本には、書かれていなくて、自分で想像して埋める部分がいっぱいある」と話す水野美紀(右)と、倉持裕

 劇団ペンギンプルペイルパイルズを主宰する倉持は2004年に、若手の登竜門である岸田國士戯曲賞を受賞。不条理劇のような設定と独特の冷めた笑いで人気を集めている。

 パルコ劇場への書き下ろしは初めてだが、「『パルコでラブストーリーだから、こう書かなければ』という意識はなく、普段と変わらない気持ちで書けた」と言う。

 「僕の芝居は分かりにくいと言われるが、分かって欲しいところは分かってもらいたい。観客に無理に合わせる必要はないが、突っぱねるのも大人げない。その辺りが、良いバランスで書けた」

 その言葉通り、新婚なのになぜか、よそよそしい夫婦(水野、丸山智己)を軸にした物語は、独特の会話で笑わせつつ、せつない恋愛模様を描き出す。

 水野は倉持の芝居を3本ほど見た。「直球ではない笑いの投げかけ方が好き。一瞬遅れて時間差で笑ってしまうのは、よその劇団にはない」と、作風に魅力を感じていたと話す。

 「分からないところもありますが、芝居はすべて分かるから面白い、というものではない。分かりやすさや説明することが最優先されるテレビドラマの世界にずっといたので、説明的なせりふは無い方がいいと思ってしまう」

 会話の途中で言いよどんだり、話が別の方向にそれたりする独特の会話が「リアルだ」と水野は言う。

 「これまでの舞台では、一つの強い思いがあり、それに100%腰を据える感じで演じていた。倉持さんの会話はしゃべりかけてから違うことが思い浮かんだり、話し相手とは別の人を気にしたり、リアルな感覚がすごく入っている。一つの思いに乗っからず、常に中腰で、いろんな方向にアンテナを張っている感じ」

 演出は、パルコ劇場に度々登場し、今や売れっ子となったG2。水野は「倉持さんがパステルカラーで描いたところを、G2さんが原色にするところもあるかもしれないが、ペンギンプルペイルパイルズのファン以外の観客への橋渡しになる気がする」と期待を寄せる。

 倉持も「劇団員とばかりやっていると、(観客にとって)不親切な演技になってしまう。テレビの分かりやすさも知る水野さんが、僕の不親切な脚本を演じることで、劇団員がやるのとは違うものになるはず」と仕上がりを楽しみにしている。

 共演は大倉孝二、京野ことみら。(電)03・3477・5858。

2006年7月5日  読売新聞)
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