65歳以下お断り? 輝くシルバー舞台見て演じて「楽しい」蜷川幸雄が主宰する「さいたまゴールド・シアター」が5月に発足して以来、演劇界では、シルバー層に着目した取り組みが目立っている。新作舞台や劇場オープンなどの動きを取材した。(祐成秀樹、塩崎淳一郎) 最年長は90歳 12月に東京・下北沢のザ・スズナリで上演される「オールド・バンチ〜男たちの挽歌」(6〜13日)は、演出家の流山児(りゅうざんじ)祥が創設した劇団「パラダイス一座」の旗揚げ公演だ。主な出演者8人の平均年齢は77歳。最年長の演出家の戌井(いぬい)市郎(90)をはじめ、同じ演出家の瓜生(うりゅう)正美(81)、ピアニストの高橋悠治(68)ら多彩な顔ぶれだ。 流山児は「今の新しい演劇は、ほとんど若者のためのもの。大先輩を引っ張り出すことで、歴史が染みこんだ体で表現する舞台を作りたかった。公演が成功すれば、日本の現代演劇の豊かさを証明するものになる」と語る。戌井も「この年になって声をかけられ、先に道が開け、光が差した気持ち。可能性を試してみようと思う」と意気込む。 物語は、銀行に押し入る老人たちの姿に、戦時体験を絡ませる。戌井は「戦時中、各地を慰問で回ったが、それは戦争に協力したことと同じ。そんなことを思い出しながら演じている」と話す。(電)03・5272・1785。 一方、新宿・紀伊国屋ホールでの熟年コメディー「黒いぬ」(12月6〜10日)は、引退していた5人の元秘密部隊が招集され、難事件に挑むという話。 こちらの出演者の平均年齢は67歳。能楽師の観世栄夫(かんぜひでお)(79)、コント55号の坂上二郎(72)、俳優の菅野菜保之(67)、新井純(61)、綾田俊樹(56)と、「パラダイス一座」に負けずにぎやかだ。 起用の理由を、作・演出の川村毅は「彼らには、若者にない経験の豊かさがある。さらに、バカバカしいことを、ちゃんとした大人がやれば、なお一層面白くなる」と話す。 中でも観世は、「オールド・バンチ」にも映像出演するなど元気いっぱい。「高齢者には培ってきた方法論があり、舞台ではそれをぶつけられる面白さがある。仕事をたくさんすることで、日々新鮮になれるし、新しい活力が沸いてくる」と、眼光鋭く語った。(電)03・3344・3005。 30代と交流 世代交流型の試みとしては、「45歳からのアクターズスタジオ」が、来年2月に発足する。対象は45〜70歳で、劇団6番シードの演出家、松本陽一ら30歳代のスタッフが1年間指導し、最後に書き下ろしコメディーを上演する。12月9、10日には体験ワークショップがある。(電)03・5387・3669。 また、劇団シニア グラフィティは、団塊の世代向けに、昭和の歌謡曲を題材にした芝居を「モーニング娘。」の元メンバーや演歌歌手らで上演する。来年1月31日〜2月7日の公演「新宿の女」(新宿・スペース107)には、保田圭、辻希美らが出演する。(電)03・3560・3930。 「さいたまゴールド・シアター」の制作担当者、赤岩晴彦さんは「発足から半年以上が過ぎ、これまで演劇に関心のなかった層を含めて注目されているのを感じる」と話す。 「7月の中間発表会には高齢者の客も多かったし、アンケートでも『元気をもらった』『芝居の楽しさが分かった』という声が寄せられた。レッスンは週に5日あり、2、3割が辞めるのではと心配していたが、現在辞めたのは48人中2人。団員は自分の限界を感じるより、可能性を感じて元気になっているようだ。表情も明るくなっている」 12月1〜4日には、2回目の中間発表会が与野本町の彩の国さいたま芸術劇場で行われる。(電)048・858・5511。 “専用”劇場も続々緩やかな階段 東京・下北沢で五つの劇場を運営する本多劇場グループが、「小劇場 楽園」(約80席)を来年2月に開場する。目標は「お年寄りが見て、参加できる劇場」だという。 きっかけは、元俳優の本多一夫社長(72)自身が昨年秋に舞台に出演したことだ。「せりふが覚えられるか不安だったが、まだやれたし、楽しかった。そして我々の世代が舞台に立てる場所があってもいいと思った」と語る。 場所は、「劇」小劇場の向かいにあるビルの地下1階。階段の傾斜を緩やかにし、いすはクッションを軟らかめにするなど、高齢者に配慮した作りも特色だ。こけら落とし公演は、本多社長の復帰作となった「ラスト・シーン」。川辺久造(74)、三谷昇(74)ら、ベテランが勢ぞろいする。今後、高齢者のアマチュア劇団にも開放したいという。 東京・赤坂見附に来月開場する赤坂レッドシアターも、「大人が気軽に入れる小劇場」を目指している。 場所は新築ホテルの地下1階で、天井の高いロビー、赤を基調とした内装、最新鋭の音響・照明設備、そして、ゆったりした173席の特注いすと、豪華な雰囲気の劇場になりそうで、車いす用の観劇スペースやエレベーターも備える。上谷忠プロデューサー(50)は「団塊の世代の人々にも芝居の楽しさを広げる場にしたい」と話している。 元祖「さいたまゴールド・シアター」 「さいたまゴールド・シアター」の制作担当者、赤岩晴彦さんは「発足から半年以上が過ぎ、これまで演劇に関心のなかった層を含めて注目されているのを感じる」と話す。 「7月の中間発表会には高齢者の客も多かったし、アンケートでも『元気をもらった』『芝居の楽しさが分かった』という声が寄せられた。レッスンは週に5日あり、2、3割が辞めるのではと心配していたが、現在辞めたのは48人中2人。団員は自分の限界を感じるより、可能性を感じて元気になっているようだ。表情も明るくなっている」 12月1〜4日には、2回目の中間発表会が与野本町の彩の国さいたま芸術劇場で行われる。(電)048・858・5511。 (2006年11月24日 読売新聞)
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