歩み寄るクラシッククラシックを敬遠してきた若い世代や、夫婦で行動することの多い中高年層にも、気軽にクラシック音楽を楽しんでもらおう、という試みが、東京のホールやオーケストラで広がっている。(持丸直子) ゲネプロ 350円で鑑賞東京・上野の東京文化会館は今年から、世界一流のオペラやバレエの来日公演などで、本番とほぼ同じ衣装、装置、内容で行われる最終リハーサル「ゲネプロ」を、安価で学生に見せる新事業「青少年のための舞台芸術体験プログラム」を始めた。 東京都の東京文化発信プロジェクトの一環。対象は中高生および25歳以下の学生で、チケット発行の手数料350円で参加できる(団体は無料)。自主公演のゲネプロを公開するホールは少なくないが、貸し館業務が主流の同館では約50年の歴史で初の試み。主催者側の理解を得て実現した。 9月には日本舞台芸術振興会などが主催するミラノ・スカラ座のオペラ「ドン・カルロ」で実施。本番のチケットを買うとS席5万9000円の舞台のゲネプロを、約220人が鑑賞した。休憩をはさんで約4時間半のオペラは、大半の学生にとって初体験だ。 開演前、理解しやすいようにオペラの人物関係図や粗筋を書いた用紙を渡し、プレトークで見どころを解説した。オペラでは歌手がノドを酷使しないよう、ゲネプロで100%の力で歌うことは少なく、その点も説明。携帯電話を事前に切るマナーも教えている。 12月は東京都交響楽団、来年2月は東京二期会のオペラ「オテロ」、東京バレエ団の「シルヴィア」、3月はパリ・オペラ座バレエ団でも行う。同館経営管理課の里神大輔さんは「生の舞台の魅力を知り、将来は本番のチケットを買って見てもらうことにつながれば」と期待する。(電)03・3828・2111。 ホール・オーケストラが顧客開拓平日昼に コンサート 新日本フィルハーモニー交響楽団(墨田区)は、今月から平日昼の名曲コンサートを始めた。 拠点のすみだトリフォニーホール(約1800席)で土曜昼に行ってきた公演が、毎回完売の大人気のため、金曜午後2時の公演も加えた。初めて開いた今月は、2日の金曜が60歳代以上を中心に1400席売れ、3日土曜の1600席に迫る好調な滑り出しだった。 次回は11月6、7日、音楽監督のクリスティアン・アルミンクが指揮、フルートの荒川洋、ハープの篠崎和子をソリストに迎え、モーツァルト作曲「フルートとハープのための協奏曲」などを演奏する。桑原浩事務局長は「手応えを感じた。団塊世代は夫婦での行動も多く、主婦層にもアピールしたい。入門編で楽しんでもらい、いずれ定期演奏会にも来てもらえたら」と話している。(電)03・5610・3815。 若い世代 考慮した対策を音楽評論家・東条碩夫(ひろお)さんの話 「1960年代にはクラシックコンサートの聴衆は若者が多かった。だが、若者の開拓を怠ってきたために、今では客席の大半が高齢者になってしまった。プログラム構成や入場料の設定に、もっと若い世代を考慮した対策が必要だろう。加えて、会場に入ると、スポンサー向けの招待席がたくさん空席になっていることがあって、もったいない。主催者はこまめに招待客の出欠をとり、当日空いた席は思い切って学生に半額で売るという方法を講じてもよいのではないか」 定期会員券値下げ 日本フィルハーモニー交響楽団(杉並区)は、9月から来年7月までの新シーズンの定期会員券の値下げに踏み切った。S席年間会員(全10回)4万7000円が4万円となり、「1回券(1回7000〜7500円)を10回購入するより最大44%おトク」とPR。定期会員は、楽団にとって音楽的な柱となる毎月の定期演奏会を、毎回決まった席で聴ける制度。減収にはなったが、会員数は1割増した。 背景には昨年秋からの不況がある。平井俊邦専務理事は「不景気でコンサートに行く回数を減らす人が多い。定期会員の継続と新規顧客の開拓のため、思い切った。首席指揮者にロシアのアレクサンドル・ラザレフを招いて演奏水準も上がっており、楽団の音楽を継続して聴いてほしい」と訴える。 楽団を応援する「サポーターズクラブ」も昨年創設、年会費1万円で公演チケット2枚をプレゼント。ホームページでファンサイトも開設し、こちらの会員は30、40歳代が中心だという。(電)03・5378・5911。 (2009年10月30日 読売新聞)
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