噺家DVD集、売れ行き好調
微妙なしぐさ じっくりと
人気噺家の貴重な映像を集めた、高額なDVD集が人気を博している。廉価の隔週刊DVD付き雑誌も売れ行き好調。まぼろしの高座も、自宅でしぐさまで確認できるとあって、ファンが一斉に飛びついたようだ。(塩崎淳一郎)
高額DVD集のヒットで話題となったのは、昨年3月に上、10月に下巻が出た「古今亭志ん朝全集」(ソニー・ミュージックダイレクト)。上下巻とも3万400円(税抜き)と高額ながら、上が約2万セット、下は約1万5000セットが売れ、下巻はオリコン総合DVDランキング(10月13日付)の6位に入った。
三遊亭円生のレコードなどを手がけた京須偕充プロデューサーは、「高価でも、素早く売り上げを伸ばしたのは驚いた。主な購買層は50、60代の男性。落語ブームで関心を持った若い世代にも売れた」と語る。
同社は今年9月と来年3月、「三遊亭円生全集」の上下巻も没後30年を記念して発売する予定。「志ん朝」はDVD8枚組みだったが、「円生」は12枚組み。価格も「志ん朝」を超えることは確実だが、京須氏は、「円生の映像を見ると、今の噺家では崩れた上下(左右)を演じわけ、役による微妙な視線の違いさえ分かるはず」とPRする。落語ファンの購買力に着目した同社は、今年に入り部門横断的に人材を集め、8人で「落語プロジェクト」を発足。通信販売、ネット配信など、落語の商品開発を行う。
「志ん朝」「円生」の映像は、TBSで放送した落語番組「落語研究会」を使用。同様に竹書房は来月27日、「八代目桂文楽全集」(DVD8枚組み)を3万400円(税抜き)で発売する。戦後落語界の名人・文楽のDVDは初めてで、発売元の期待は高い。現役の噺家では、上方落語の笑福亭仁鶴のDVD、CD、記念の豪華本を合わせたセットが、ワニブックスから2万4000円(同)で発売中だ。
一方、デアゴスティーニ・ジャパン(東京)は昨年10月から、隔週で「落語百選DVDコレクション」の発売を始めた。1巻に落語2席と解説を載せた書籍。あす17日発売号で10号となる。
第1号は特別価格790円(税込み)で約15万冊が売れた。1490円になった2号以降も平均で約3万冊売れている。編集部の榊原薫氏は、「他社は噺家に焦点をあてるが、当社は演目。50号で100演目を網羅する予定で、現役の噺家を登用していく。寄席に行けない地域の人にも落語の魅力を伝えたい」と語る。
落語情報誌「東京かわら版」の佐藤友美編集人は、「『落語は商売になる』とレコード会社や出版社が気が付いた。音だけの楽しみもあるが、映像にはお得感がある。昔からお手軽な落語は不況に強いと言われるが、その証左では」と、この現象をとらえている。
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