NHKスペシャル アフリカ ゼロ年内戦、貧困、子ども兵、エイズ貧困や紛争などにあえぐアフリカ。NHKは9日から、「NHKスペシャル」(土、日曜=後9・00)で、「21世紀の潮流『アフリカ ゼロ年』」を放送する。アフリカが抱えるさまざまな問題を考える4回シリーズ。旧宗主国のフランスでも再編集して放送されるという。(津久井美奈) 「負の連鎖」考えるアフリカは、日本では「遠い国々」とのイメージが持たれてきた。しかし、開催中の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)の最重要課題となる一方、サミットに先立って行われた世界的チャリティーコンサート「ライブ8」の効果もあり、関心が高まりつつある。 アフリカでは、貧困の深刻化、医療の立ち遅れ、国家財政の悪化などに苦しむ国が多い。今回のシリーズは、こうした「負の連鎖」を断ち切る手だてはあるのか、という視点から、アフリカの現状を描いていく。 桜井均エグゼクティブ・プロデューサー(EP)は、「いわば周回遅れのランナー。以前から南北問題や格差はあったが、国際化が進み、同じトラックを走っていながら、何周遅れになっているのかがかえって見えにくくなっている」と指摘。さらに、「世界が右肩上がりの中、アフリカだけが右肩下がり。まずは『負の連鎖』を断ち切り、マイナスをゼロにしなければ」と力を込める。 初回のテーマは内戦や地域紛争。スーダンでは、今年1月、20年間続いた内戦が終結したものの、西部ダルフール地方で、アラブ系民兵による黒人部族の虐殺行為が多発しているという。この事例から紛争発生のメカニズムに迫るとともに、国連常任理事国入りを目指す日本の支援のあり方も問いかける。 第2回は貧困。世界有数の産油国でありながら、300億ドルもの累積債務を抱え、貧困にあえぐナイジェリアの実態を紹介。貧困の構造的な問題を探る。 第3回は、誘拐され、麻薬や暴力で支配され、紛争の最前線に立たされている子ども兵の問題だ。15年前、NHKはモザンビークで8歳の子ども兵を取材した。今回は彼のその後を追ったが、直前に亡くなっていたという。そこで彼の仲間の元子ども兵にインタビューしながら、子ども兵誕生に絡む国際社会の責任について考える。 最終回はエイズ。世界で最も多い530万人もの患者がいる南アフリカの状況をリポートする。10年前に治療薬が開発され、今やエイズは不治の病とは言えない。だが、途上国では高い特許料に阻まれて、薬が行き渡っておらず、南アでは年に40万人が亡くなっているという。自由貿易の拡大とともに、知的所有権保護が進んだことで、新たな悲劇が起きているのだ。 旧宗主国フランスでも放送番組制作を知ったフランス公共放送のドキュメンタリー放送局「フランスサンク」が、再編集して放送することになった。 「旧宗主国であるためにかえって、きちんと取材できないらしい」(桜井EP)という事情から、このシリーズに注目したようだ。人気討論番組のアフリカを考える特集で、討論の素材として放送する予定だという。 桜井EPは、「日本でもアフリカについて考えるきっかけになってほしい」と話している。 (2005年7月7日 読売新聞)
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