「愛の流刑地」初ドラマ化 厳寒の支笏湖でロケ20、21日日テレ系岸谷五朗、高岡早紀が熱演男女の愛を大胆に描き、話題を集めた渡辺淳一の小説『愛の流刑地』が初めてドラマ化され、3月20、21の両日午後9時から日本テレビ系で放送される。今月中旬、厳寒の北海道・支笏湖で行われたロケに同行した。(市原尚士) 元ベストセラー作家・村尾菊治と、愛に飢えた人妻・入江冬香が支笏湖畔に立ち、熱い口づけを交わす。20日に放送される前編冒頭のこのシーンを演じるのは、岸谷五朗と高岡早紀だ。 息もぴったり合った本物の恋人のような2人だが、昨年8月の撮影初日は違っていた。 「お互いに役を探り合っていたせいもあって、ピリピリ緊張していた」と振り返るのは岸谷。一方の高岡は「自分の中に冬香のような部分はまったくない」とした上で、「現場の雰囲気に合わせていく中で、自然と役柄に成りきれるように心がけた」と話す。その成果が実ってか、撮影2日目からは「スルッとお互いの役の空気を作れた」(岸谷)という。 新聞連載時から大きな反響を呼び、単行本(幻冬舎刊)は上下巻合わせ50万部を突破した。原作では、箱根・芦ノ湖を訪れる菊治と冬香だが、ドラマでは支笏湖に設定が変更された。 実は、原作者の渡辺と支笏湖の間には多少の因縁がある。医大生のころ、湖畔でキャンプしていた渡辺の前に、誰も乗っていないボートが近づいてきた。「靴が2足置いてあるだけ。後から、男女が湖で入水自殺していたことが分かった。死んだ姿を誰にも見られたくないと願うその男女の心中のイメージが、菊治と冬香の姿に重ね合わせられている」という。 ドラマ化に当たって制作側が考えたのは、愛欲の日々だけでなく、息苦しい生き方を強いられている女性たちの姿をしっかりと描こうという点だった。原作ではあまり触れられていない冬香の娘や義母が、かなり肉付けされて描かれている。 日本テレビの前田伸一郎プロデューサーは「夫婦、嫁姑(しゅうとめ)、親子といった関係性の中で、がんじがらめに縛られていた冬香が、一人の『女』として自らを解放させる過程こそ描きたかった」と強調する。 冬香を演じた高岡も、思いは同じのようだ。「彼女のような生き方は現実にはなかなかできないかもしれないけど、最後は『女の部分』を大切にする生き方を貫いた点が印象に残ります」と話す。 前田プロデューサーは、濡(ぬ)れ場のシーンも「原作通り、逃げずに真っ正面から取り組んだ」と語る。「家族の絆(きずな)」と「男女の激しい愛」という、一見、相反する要素を重ね合わせた力作になりそうだ。 (2007年2月28日 読売新聞)
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