東アジア…ドラマ事情(上)「韓流」世界へ売り込み「ビデオやDVD販売全体が伸び悩む中、韓国ドラマは安定した収益が確保できるコンテンツ。ブームは去ったどころか、買い付け額は一律に高騰しています」 昨年、韓国のラブコメディードラマ「宮(クン)」のDVDをヒットさせた映画配給会社・SPOの桜井由紀マーケティング部長は断言する。 韓国ドラマがブームになったのは、NHK衛星第2で「冬のソナタ」が放送された2003年ごろから。以来、人気は衰えない。大手ビデオレンタルチェーンのTSUTAYAでは、今年1月と2月に韓国ドラマのレンタル数が過去最高を記録した。 「冬ソナ」が地上波(NHK総合)で始まった04年4月にはわずか数本だった韓国ドラマは、現在約300作品に増え、売り上げは約7倍にも達した。中高年女性ファン層に加え、20〜30代の女性や、男性層にまでファン層が拡大し、「韓国ドラマは一過性のブームではなく、ジャンルとして定着した」(TSUTAYA広報室)という。 韓国ドラマを最大の目玉商品にする放送局も新作探しに躍起。CS放送「アジアドラマチックTV★So―net」では今月から、韓国のケーブルテレビ局が制作した性クリニックが舞台の歴史サスペンス「シークレット・ルーム」の放送を開始した。 一方、日本の韓流ブームは、韓国のドラマ制作現場にも影響を与えてきた。日本で注目されたスターを中心に、俳優陣の出演料は急騰。スタッフの給料も上がったため、「放送局から支出される金額はほとんど変わらないのに、ドラマ制作全体にかかる総制作費は2〜3倍、場合によっては5〜6倍にまで高騰している」と、制作を手がけるプロダクション関係者は打ち明ける。日本を中心とするアジア各国からの収入で、ドラマ制作は支えられている。 こうした中、プロダクションは放送権を販売することで、制作資金の回収をめざしている。その一例が、NHK総合で放送が始まったペ・ヨンジュン主演の歴史ドラマ「太王四神記」だ。この作品では、制作プロダクションと投資会社が特殊目的会社を共同で設立。海外から投資を募って制作した上で、各国のテレビ局などに放送権やDVD化権を販売する。 キム・ジョンハク監督は「韓国国内の市場だけでは制作費の回収が難しいので、最初から日本や東南アジア、中国などを市場に入れることを考えていた。世界で見られるように、娯楽的な要素やCGを使ったファンタジー性を加えた」と強調。「今後も、世界への販売を視野に入れた作品は増えてくる」と語る。 桜井マーケティング部長も「企画やキャストが決まった段階でドラマを販売するなど、韓国側も日本のビジネスを学んで提案の仕方を変えてきている」と指摘する。日本の需要に韓国側の供給がうまく合致し、韓国ドラマの勢いは衰える気配を見せない。 ◎
アジアの放送作家たちが意見交換する「東アジア放送作家カンファレンス」が6月、福岡と長崎の両県で開かれる。東アジアのドラマ事情について、3回に分け報告する。 (2008年4月8日 読売新聞)
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