実話モデル「さくら道」 バス車掌の半生ドラマに
17日、夜 日テレ系
太平洋と日本海を桜の道で結んだ実在の旧国鉄バス車掌、佐藤良二さんの半生をモデルにした読売テレビ制作のドラマ「さくら道」が、17日午後9時から日本テレビ系で放送される。(小林佑基)
名古屋市と金沢市を結ぶ約250キロのバス路線の車掌だった良二さんは、1977年に47歳で病死するまでの約11年間、バス路線の国道沿いに約2000本の桜を植えた。この実話は書籍や映画にもなっており、良二さんを顕彰するマラソン大会「さくら道国際ネイチャーラン」も毎年4月に開催されている。
アマチュアカメラマンでもあった良二さんは、60年に依頼され、御母衣(みぼろ)ダム建設で一部が水没地区となった岐阜県荘川村(現・高山市)の樹齢400年の桜2本の移植事業を撮影した。この「荘川桜」は数年後に再び花を付け、ダムで家を失った村人たちに感動を与える。良二さんが自分の力で「さくら道」を作ろうと決意したのはその時だ。同じ頃に亡くなった父・仁助さん(ドラマでは仁吉)が、「ボロ着て奉公して、社会につくせ」と息子に諭していたこともあった。
ドラマは事実を基にしたフィクションで、良二さん役は緒形直人、良二さんの妻・八千代さん(ドラマでは光代)は薬師丸ひろ子。また、実在しない良二さんの孫・美樹を志田未来が演じ、ネイチャーランに参加しながら祖父の半生を回想する。演出は映画監督の渡辺孝好。ロケは昨春に高山市などで行われ、10年に一度と言われるほど美しい満開の荘川桜が撮影できたという。
読売テレビの田中寿一・チーフプロデューサーは「良二さんは、ひょうきん者だったり、平凡な人生に悩んだり、映画スターを夢見たりと複雑多面な人。良二さんの理想と、そのために苦労を強いられた家族の姿を軸にドラマを作った」と説明している。
父・拳の仕事への思い意識
難病でやせ衰えていった良二さんを再現するため2、3キロ減量したという緒形。病で目にも声にも力がなくなっていく一方で、思いだけは燃えたぎる様子を意識した。そんな良二さんの決意について、「自分とは違った方向を見ていた父親の生き方を改めて振り返り、自分は桜で人々を明るくしようと思ったのでは」と推測する。
ドラマの撮影は昨年春だったが、その後、父・拳を10月に亡くした。緒形も、父の死で何かが変わったのだろうか。「僕の場合、父と同じ方向を見ていたから……」と話すが、父への強い思いは共通しているように思える。「(父の死は)あまりにでかい穴なので、家族がまだ現実を受け入れられない。長いロケに出ていて、また帰ってくるような感じもする」
父は亡くなる5日前までフジテレビ系ドラマ「風のガーデン」の仕事をしていた。「俳優は、年をとっても流してできる仕事ではないというメッセージを、強烈な行動で残してくれた。それを知ることのできた僕は幸せ者」
ドラマをきっかけに、桜の木一本一本に、「誰かの思いがこめられているのではないか」と思うようになったという。「良二さんは、多くの人の笑顔を見るために桜を植え続けた。人間が一生懸命生きる姿から、前向きな思いを感じ取ってもらえれば」と話す。
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